労災保険制度

労災保険制度

中皮腫は、アスベストを吸い込むことで発症する病気です。中皮腫をはじめとするアスベスト疾患にり患した方やその家族は、労働者災害補償保険法(労災保険制度)や石綿健康被害救済法(石綿救済制度)などから、必ず給付を受けることができます。これらの法律・制度は、健康被害を受けた患者と家族の長年にわたる闘いによって勝ち取られてきたものです。これまでに労災制度と救済制度をあわせると、1995年以降、約2万人以上の人々が認定されています。

労災制度では、治療費無料の療養補償給付、平均賃金の80%の休業補償給付、通院交通費の支給、遺族補償給付、葬祭料などが支給されます。石綿救済制度よりも充実した内容となっています。
労災制度では、病気の発症と過去の仕事に関係が認められた場合に認定(給付の支給)となります。働いていた事業所がすでに廃業していたり、その事業場が労災保険に入っていなかった場合にも、あるいは原因が複数の事業所にまたがっている場合でも、労災保険の対象になります。もちろん、発病時、すでに退職していた場合でも労災保険の対象となります。

中皮腫をはじめとするアスベスト疾患を発症された方は、安易に労災請求を断念せず、必ずお問い合わせください。労働基準監督署や環境再生保全機構の不十分な説明によって、労災請求あきらめておられる方が現在も少なくありません。

アスベストを仕事で吸った方は労災保険への申請を

中皮腫を発症され、しかも過去にアスベストの粉じんにばく露する職場で働いていた方の場合、アスベストが原因の労働災害の可能性が高いですので、まず労災保険への申請を考えてみて下さい。
主に、①建築関連(大工、左官工、電気工、配管工など)の職種ほぼすべて、②アスベストを含む製品(建材、ブレーキライニングなど)の製造、③自動車、鉄道、船舶の製造や修理、④鉄工、ガラス製造、⑤アスベスト原料の運搬や荷揚げ(運輸業、港湾関係など)といった職種の場合、アスベストそのものやアスベストが含まれる建材・製品を直接加工したり、アスベストの粉じんが出る環境の中で働き、アスベストの粉じんにばく露している可能性があります。
また、アスベストを含む滑石(タルク)を使用していた看護師や美容師の方で発病したケースや、学校の体育館の天井に石綿が吹付けられていた場合もあったことや、一昔前の理科の授業などで石綿金網が使用されていたことなどから、教員の被害なども確認されています。
厚生労働省がHPで、『「石綿にさらされる作業に従事していたのでは?」と心配されている方へ』と題して、石綿にさらされるおそれがある作業例について、写真入りで解説しています。また、アスベスト被害で労災認定が出ている事業場を検索できるサイトもありますので、ぜひ参考にしてください。

中皮腫の労災認定

中皮腫であるという確定診断と、アスベストにばく露する作業に従事していた期間(アスベストばく露作業従事歴)が1年以上あれば、労災として認定されます。アスベストの吹き付け作業や解体作業など、高濃度のアスベストにばく露したケースでは、1年に満たない従事期間でも労災として認定される可能性があります。事務職のような場合でも、飛散しやすい吹き付けアスベストがあった建物内で働いていてばく露し、労災として認定されたケースが複数あります。

労災補償の手続き

労災保険の申請については、請求書を労働基準監督署に提出し(療養補償については、医療機関を通じて労基署に提出)、それを基に労働基準監督署が調査を行って支給するかどうかが決められます。請求書は最寄りの労働基準監督署でもらえますし、厚生労働省のHPからダウンロードすることも可能です。

労災補償の内容

療養補償給付では、労災病院や労災指定医療機関において、原則として無料で治療を受けることができます。また、通院費も支給されます。通院費の支給は原則として最寄りの医療機関への通院が対象となりますが、中皮腫の治療については、この病気の特殊性から、遠距離にある専門医への通院費も支給されます。
次に休業補償給付では、中皮腫のため働くことができない場合に、アスベストにばく露した職場で受け取っていた平均賃金の約80%が療養中ずっと支給されます。
また、ご遺族(配偶者や一定年齢までの子ども)には、生前の賃金から算定された年金が、遺族補償年金として支給されます(遺族補償給付)。この他、葬祭料も支給されますし、在学中のお子さんがいる場合には就学等援護費が支給されます。

【参考資料】
・厚生労働省 労働災害が発生したとき
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html
・厚生労働省 「石綿にさらされる作業に従事していたのでは?」と心配されている方へ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/roudousya2/index.html
・石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧(全国労働安全衛生センター/中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会)
http://joshrc.info/?page_id=75

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄