中皮腫オンラインセミナー:中皮腫治療と「治験」の本当の話講演録

開催日:2020年5月23日

講演者:中山裕樹(がん情報サイト「オンコロ 」コンタクトセンター)

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【司会】本日はお忙しい中、中皮腫サポートキャラバン隊のオンラインセミナーにお集まりいただきまして、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。今日は、がん情報サイト「オンコロ」より、中山裕樹さんを講師に招きまして、中皮腫サポートキャラバン隊主催 中皮腫オンラインセミナー第一弾として、『中皮腫治療と「治験」の本当の話』を開催したいと思います。中山さんにつては、講演が始まる前に改めてご紹介させていただきます。まず始めに、中皮腫サポートキャラバン隊 共同代表の右田より皆さまにご挨拶があります。よろしくお願いします。

【右田】みなさん、こんにちは。改めまして、中皮腫サポートキャラバン隊の共同代表の右田でございます。よろしくお願いします。ようやく首都圏以外は緊急事態宣言も解除されまして、ただ、今後、第2波、第3波がくるのではないかという懸念もありますけれども、私たちのような基礎疾患を持っているものは、やっぱり自主規制をして、コロナには感染しないように避けたいということで、皆さんもその辺をくれぐれも、今は自重しているのかと思いますけれども、今日はオンコロさんとの共催ということで、中皮腫の治療と治験の話ということで、主に今日は治験の話になるかと思うのですけれども、オンコロさんのほうから中山さんに来ていただいて、治験とは何か。また、治験の中でも第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験とあるのですが、こういったものがどういう意味をもつか、皆さん、詳しく聞いていただいて、もしわからないことがあったら後で質問していただいて、説明を聞いていただければと思いますし、皆さん、メモなどをとって真剣にお聞きくださったら良いなと思っています。本日はよろしくお願いします。

【司会】右田さん、ありがとうございます。今、代表の右田のほうから話がありましたが、このセミナーを聞いている間に何か質問等を思いついた方は、チャット機能を使って質問を入力していただければ、スタッフのほうでそれを見ることができますので、よろしくお願いします。それではこれより本日の中皮腫オンラインセミナー第一弾『中皮腫治療と「治験」の本当の話』と題して講演していただきます。がん情報サイト「オンコロ」より、中山裕樹さんにマイクを回していきたいと思います。その前に中山さんのプロフィールを簡単に紹介させていただきます。中山さんは2017年よりオンコロの一員となりまして、コンタクトセンターというところを担当されております。中山さんは実は二十歳のときにお爺ちゃんが肺がんを患いまして、そのときの辛い思いを経験として、オンコロではがんで苦しむ患者さんの手助けをするために治験の認知度向上に努めたり、がん治療の正しい情報とわかりやすい情報を提供するなど、日々取り組んでおられます。それでは中山さん、よろしくお願いします。

中皮腫治療と「治験」の本当の話

【中山さん講演】

皆さま、本日はお忙しいところをお時間を頂戴しましてありがとうございます。今、ご紹介にあずかりました、がん情報サイト「オンコロ」の中山と申します。普段は、今、紹介のとおり、オンコロに電話を下さる患者さんに関して、問い合わせを受ける、いわば問い合わせ番長みたいなことをやっております。かれこれ、たぶん3年ぐらい、オンコロに入って経過するのですけれども、延べ3000人ぐらいの人に関して、治験ということに関してお問い合わせを受けております。本日、このようなご機会をいただいたので、こういった治験に対して話してきた内容を、少しでも皆さまに還元できたらなと思っております。今日は難しい話をするつもりはございません。なので、少し肩の力を抜いて、これは自分の緊張をほぐすためにも言っているんですけれども、何とぞ聞いていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは早速始めていこうかと思いますが、本日、『中皮腫の治療と「治験」の本当の話』というところなのですが、恐縮ながら治験のところをメインにお話を進めて行ければと思っております。

それでは「オンコロとは」というところから初めて行きたいと思っております。

がん情報サイト「オンコロ」とは、なのですが、がんの情報を発信しているインターネット上のサイトになります。2015年の5月ぐらいから、実際、3Hクリニカルトライアルという会社の運営のもの、スタートさせていただいております。やっていることを単純にまとめますと、正しい情報を発信すること。海外でこういった発表がありましたよ、だとか、そういった情報を、正しい情報を私たちは発信することを大切にしております。例えば、今、コロナのご状況の中、「ティッシュが不足するかも」といったような情報の中で、かなりティッシュが無くなっただとか、そういうったこともあるので、ああいった人々を迷わせてしまうような情報は無いように、私たちは正しい情報を発信することに努めております。2つめ。いろんな人、患者さんもしかり、医療業界の人もしかり。もしくは製薬会社の人もしかり、いろんな方と協力しながら、より良い医療にしていこうよ、というところで私たちにできることをメインに貢献しているようにがんばっております。3つめ、ちょっと1つめとかぶるところもあるかもしれませんが、そもそもがんと診断されたとき、がんってそもそも何なのか、と、そういった知らない人たちが多々います。そういった方に、知るというのは怖いことかもしれないのですけれども、正しく知ってもらって前向きに治療していただけるような、がんを正しく知ってもらうようなきっかけづくり、というものをやっております。これは先ほど、いろいろな業界の人たちと繋がって、オンコロはやっていきますよ、というところを表しております。

では具体的に何をやっているのかというとところを説明させていただくと、簡単なところで申し訳ありませんが、がんをもっと知りたい人、最新の情報を知りたい人という人たち、がん拠点病院の先生と、協力させていただいて、セミナーを開催しております。中皮腫に関しても、年に一度は築地の国立がん研究センター中央病院の希少がんセンターに協力をいただきながらセミナーを進めております。

ちょっとだけ余談になってしまうのですが、オンコロのトップページの下のほうに、がん、セミナー、イベントというところがありますので、ここを開いていただくと、2019年の希少がんセミナーを見ることができますので、ここから中皮腫を選んでいただければ動画を見ることができますので、もし見たことがない方がいらっしゃいましたら、一度見ていたくのをお願いします。

今回は治験の話をするのですが、製薬会社とオンコロが共同して、過去にいくつか治験の情報提供を手伝ったこともございます。あとは、今、患者さん中心の治療、また、医療の開発というのが目立ってでてきております。そういったきっかけ作りの初期の段階。じゃあ患者さんの声を聞こうよ、といったときに、なかなか製薬会社さんが患者さんの声をきくのが難しかったり、病院を通じても難しかったりするところがあるので、そういったところの壁を緩和するために、じゃあオンコロがその声を聞きます、ということで、その仲介役をやらせていただいております。

これはオンコロの活動に賛同していただいているがん拠点病院の先生方です。100人以上のがんの専門医たちが、オンコロを監視というか、正しい情報を配信しているのだろうか、だとか、セミナーを協力をしていただいたりと、そういった方々のアドバイスをもとに、いろいろと活動をさせていただいているということになります。

さて、ここからが本題になります。と、その前にですが、3つ、ご了承いただければと思います。今回のセミナーは、基本中の基本をお伝えすることをメインに考えております。なので、治験を知っているという方には若干物足りない内容かもしれませんが、基本というのは非常に重要なので、その点、ご理解いただきながら聞いていただければと思います。2つめは、治験の現状をお伝えいたします。残念だと思われる内容があるかもしれませんが、私たちは今、ありのままをお伝えしたいと思いますので、その点もご理解ください。最後に、がん、中皮腫に限らず、まだまだわからないことだらけです。ですので、最後の質問等で「わからない」と言ってしまうことや、「現時点ではわからないです」というようなことを含む内容を発表させていただくのですが、その点もご了承いただければと思います。今日、お話する目次になります。①目的。②治験って一体何だろう?③中皮腫の治験の現状。④注目されているあの治療(治験)って実際、今、どうなの?⑤治験の探し方。⑥最後に、というところで、最後に終えた後に質問の時間を設けさせていただければと思っております。

セミナーの目的。治験の基礎を正しく知り、医師と話したり相談できるようにしよう、というのが今回のセミナーの目的になります。治験というもの、基礎が本当に大切で、そういった人それぞれの思い違いによって、もし仮に今後、先生と治験の相談をするだとか、先生から治験の話がでてきたといったときに、間違った治験の解釈で先生とお話したりすると、治験はやっぱりデメリットやメリットがあるので、先生も慎重に慎重に患者さんに対応するのですね。その中で間違った解釈で互いにぶつかり合ったりだとか、そういったことが少なくするためには基礎の情報がやっぱり必要になってくると思いますので、今回は相談できるような形に少しでも近づければと思っております。

2つめ。治験って何だろう?というところにあるのですが、治験とは、ざっくりと言うと、「新しい薬」や「新しい薬の使い方」の効果や副作用を確かめる試験のことになります。「新しい薬」というのは、端的に言うとオプジーボを使ったらどうなるか、というような研究。「新しい薬の使い方」というのは、例えば既存の薬を組み合わせるといったものです。最近の話題でいうと、オプジーボにヤーボイを一緒に使ったらどうなるのだろう、という、そういった新しい使い方の場合も、治験で効果や副作用を確かめることが必要になってきます。ポイント①、治験は治療であり、実験でもあるということです。なぜここで(治療)を括弧にさせていただいたかというと、あくまでも効果があったら、それは治療になるのですが、効果が無いことも十分あり得るので、治療になる一歩手前という理解になります。ただ、治療になる可能性もあるので、治療であり実験でもある、ということで書かせていただいております。ポイント②、同じようなことなのですが、メリットもあればデメリットもありますよ、といったこと。ポイント③、今の患者さんのためでもあり、未来の患者さんのためでもあるということ。患者さんによっては、言い方が難しいのですが、生きるために、生きるためにという気持ちで治験に参加される方、確かに多いです。ただ、実験でもあるといったところ、未来の患者さんにつなぐための大切な試験、治験でもあることがあります。ポイント④、新しい薬だからと言って、効くとは限らないということになります。新しい薬だから絶対効くに違いない、とか、つい最近で言うと「オプジーボは夢の薬かもしれない」ということで、どうにかして使えないか、というお話がありましたが、オプジーボも効く人は効くし、効かない人は効かない。むしろがん種によってはまったく効かないということがある。新しい薬だからと言って効くとは限らないといったことを理解しながら治験には参加しないといけませんよ、ということになります。電話をしていてよくある質問がございます。「この治験で使う薬の効果や副作用はどの程度ありますか」といった点なのですが、本当にこれはよくあるのですね。私はこう言っています。「わからない」と。失礼ながら、やっぱりそれを確かめるのが治験なので、「わからない」ということになります。

治験は人体実験?というような考えをお持ちの方がいると思います。私は正直に言いますと、そうだと思います。あくまでも患者さんの目線でいった場合は人体実験だと思います。ただ、医療者の立場から言うと、×とまでは言いません。△ぐらいまでに考えられるのが理想かなと思っていて、今回のこのセミナーでも△ぐらいに思っていただければ、というのが率直な意見でございます。治験の3か条です。3か条という名目は本当に無いので、個人的に3か条としました。1つめ。患者さんの安全が第一です。人体実験とは言いながらも、昔のようなそういった縛りは無く、患者さんの安全が第一です。むしろ、治験に参加した場合、通常の診療で受ける以上の多くの検査をしたり、まめに身体の状態を見てくださるので、通常以上にむしろ診ていただけると思います。2点目。患者さんの自由の意思のもと行われるのが治験です。治験に入れる、入れないというのは、厳しい条件があるのは事実ですが、いざ、入った後、例えば副作用でもうやりたくないだとか、そういった場合はいつでもやめることができます。自由の意思のもと行われます。3つめ。これは正確なデータを集めることです。未来の患者さんのために正確なデータを集めることです。治験は3つのステップ、階段を経ることになります。第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験と呼ばれる形で3つの階段を踏むのですけれども、それぞれ見ているものだとか役割というものが少し変わってきております。

まず第Ⅰ相目、ワンステップ目では、主に薬の副作用。この薬をつかったらどんな副作用がでるのか、もしくは、このお薬はどんな経路で代謝されるのだろう、外に出ていくのだろう。どのぐらいの時間でその薬が外に出ていくのだろう、というのを確かめます。どの容量が一番副作用なども抑えられて、かつ、効果的なところがあるのだろう、というところで、そういった適量、もしくは副作用がどうなのかというのを確かめる始めの段階です。第Ⅰ相試験、がんだけといっていいのか、特例で、第Ⅰ相試験、例えばインフルエンザだとか糖尿病だとか、そういった基礎疾患に関しての新しいお薬は、基本的に第Ⅰ相試験は健常人に行われます。健常人を対象にして、こういった副作用や代謝経路を見るのですが、がんに限っては一番始めからがんの患者さんを対象に、こういった副作用やそういったものを見ます。第Ⅱ相試験は、第Ⅰ相試験で、このぐらいの容量が良さそうだ、といった量で、実際に効果はどうなのだろうということを確かめるステップになります。第Ⅲ相試験は、第Ⅱ相試験である程度の効果が見られそうだとなった場合、第Ⅲ相試験で行われるのは、今の治療と新しい薬、もしくは新しい薬の使い方、どちらが本当に役に立つのか。いわゆる既存の治療と新しい薬のバトルをさせるわけです。これで既存の治療に勝てなかったら、という言い方が正しいかどうかわからないのですけれど、既存の治療よりも役に立たなかったら治療として認められない。そういったところを確かめる最終のステップとなります。概ね、下にも書かせていただいているのですけれども、Ⅰ相、Ⅱ相、Ⅲ相に関しては3年から7年という形で、結構時間がかかります。ちょっとこれは例外にはなるのですが、Ⅰ相Ⅱ相Ⅲ相という階段が通常のステップになるのですが、例外があります。どのような例外かというと、Ⅲ相を飛ばしてⅡ相で、もう実際に申請となるケースがあります。特例なのですが、2つの条件です。1つめは、第Ⅲ相試験は多くの患者さんを対象に確かめるのですが、そもそも患者さんが集まりにくいなどの背景がある場合は、もうⅡ相で実際に、この既存の治療とバトルをさせて、そのまま申請という場合もあります。中皮腫に関しては全部ではないのですけれども、こういったⅡ相から申請にスキップするような可能性もあります。もうひとつは、Ⅱ相の段階で、もうこれは絶対に効くでしょう、という、明らかな効果、すごい効果が認められた場合は、Ⅱ相からそのまま申請へ、国に使わせてくださいというステップを踏む場合があります。最近の話で言うと、中皮腫ではないのですが、乳がんですね。第一三共が開発したお薬で、第Ⅱ相からそのまま申請に、といったようなことがありました。そんなことも中皮腫ではあるかもしれないといったところになります。

それぞれのⅠ相Ⅱ相Ⅲ相に関してまとめた表にはなるのですけれども、先ほど申し上げた内容とほとんど一緒です。第Ⅰ相試験は、効果も見ているけれども副作用をだいたい見ている。副作用、どんなものがでるのかわからない状態なので、参加人数は本当に少ないです。だいたい3人から9人ぐらいがだいたいのところです。それ以上もあるのですけれども、本当に少ないです。なので、必然的にそういった研究をやる施設は1施設とかⅡ施設になります。使うお薬は新薬がほとんどメインということになります。Ⅱ相試験は効果のほうがやや若干見ています。ただ、同時に副作用も当然ながら見ています。第Ⅲ相試験は、既存薬と新薬の組み合わせによるものなのですが、事前に質問いただいていて、プラセボというものが研究にはたまに入ってきたりします。このプラセボとは何かと言うと、見た目は新薬なのだけれども、まったくお薬の効果が無いといったものになります。これはちょっと説明が難しいので、別のページをもとに説明ができたらと思っています。これは肺がんの研究なのですけれども、まずプラセボを使うこともありますが、がんにおいてはまったく治療をしないということは基本的には無いです。肺がんで申し訳ないのですけれども、このカナキヌマブというのが新しいお薬です。それにドセタキセルというお薬を一緒に使ったらどうなのでしょうという新しい使い方の試験になります。カナキヌマブのプラセボが含まれるものです。繰り返しになるのですが、今回、肺がんの治療でいくつか、治療経験をやられて、ドセタキセルというお薬が通常であれば標準治療、次の治療になる。そういった方々にカナキヌマブを一緒に使ったらどうなのか、という研究が主旨、目的です。ただし、実際のカナキヌマブを使った人と、実際に使っていない群を見るのですね。それはなぜかと言うと、先ほど少し触れさせていただいた、「新しい薬が効くに違いない」という思い込みによってプラセボ効果ということがあったりするのですが、お薬の効果に実際、少し作用することがあって、本当にこの新しいお薬の効果があるのか無いのかというのが確かめられないことがあったりもするので、実際にそういった思い込みが無いのかどうなのかといったところを統計学的に見極めるためにプラセボというものが使われて研究がなされています。ちょっと説明が難しくなっていますが、何かわからないことがあれば最後に聞いていただければと思います。基本的にはプラセボを使いますがまったく治療をしないということはありません。

こちらにまた戻らせていただきますが、実際、このメリット・デメリットというものに関しては、新薬が使えるか、効果が得られるかも、というところと、デメリットは副作用が出るかもしれないというところ、先ほど、新薬を使えないような可能性も出てきますよ、といったことになります。治験って何だろう?というところです。以下の場合は先生に治験を反対されることがあります。確立された、これは効くぞ、という標準治療が既にある場合と、これは条件が厳しいですよ、参加の可能性が低い、といった場合。あとは、治験はだいたい参加するまでにすごくたくさんの行程、確認ですね、行程を含むので、おおむね1ヶ月ぐらい、検討してから1ヶ月、長いと2ヶ月ぐらいかかるので、早期に治療を要する人は、それよりも前に治療を始めようということがあります。あとは、海外でのパフォーマンスにちょっと不安がある。先生が、ちょっとこれはあまり良いデータが出ていないよ、とか。あとは先ほどあったようなプラセボの話ですね。プラセボの対照。あと、遠方の人ですね。基本的に2,3週間に1回のペースで通院いただくというのがだいたいのところです。ご自身の力で通院するというのがだいたい治験の条件にあるので、そういったところも懸念されるひとつになります。

次になります。治験って何だろう?豆知識になります。ここらへんはさらっと行きます。すごく長いです。(お薬が)誕生するまで期間は10年から20年ぐらいかかると言われています。ちなみにオプジーボに関してですが、開発と言いますか、研究が始まったのは1992年なので20年ぐらいですかね。かなりかかっているということになります。お薬ができる確率。ざっくりと言われているところなのですが、ダイヤの原石が見つかって、最終的に保険適用になるといったところは3万分の1ぐらいと言われています。お金のところですね。ちょっとひとつ隠れているのですが、開発費用、昔はそんなにかかっていなかったのですが、2017年は1400億円ぐらいかかる。相当かかりますよということです。実際に患者さんが治験で払う費用に関してですが、通常の診療と変わらないか、むしろ安くなるといった程度に考えていただければいいかと思います。新しいお薬の費用や、今の身体の状況はこうですよ、という検査の費用は基本的に製薬会社が受け持つので、総合的には少し安くなるかな、といったようなイメージです。治験に参加しやすい人ですが、自身で自立して生活ができるということと、各臓器が正常に機能していること。治験を実施する病院が遠方ではないこと。あとは、他のがんを併発していない、ということが基本的なところになります。

中皮腫の治験の現状になります。正直、ごめんなさい、中皮腫の治験は多くありません。現状、募集していそうな治験は2件ありまして、それは次のページでお話いたします。一方で肺がんは50以上あるのですけれども、この差は一体何なのだろうといったときに、難しさがあります。罹患者数が中皮腫はやっぱり少ないといったところになって、それだけ3つめとかぶるのですが、わからないことが非常に多い疾患でもあります。なので研究が進みにくいといった背景と、あとは申し上げにくいのですが、製薬会社の立場からすると、儲からない、というような考えも少なからずあるかもしれません。2つめですが、通常、お薬は血液の流れる、通る場所に効果が作用するのではないかといわれるのですけれども、中皮腫は胸膜に守られていて、もしくは腹膜中皮腫の人は腹膜に守られていて、お薬が届きにくいといったような背景があります。作ったとしてもなかなか薬が届かないので研究がしにくいといった背景があります。

中皮腫の治験の現状になります。先にメモを取っていただいても良いでしょうか。この治験は、キイトルーダと抗がん剤の治療に関しての研究です。後でこちら、見ていただければと思いますが、基本的にどんな人が入れるのかというと、これから初めて抗がん剤治療をする人のみになります。ですので、治療を経験した方に関しては申し上げにくいのですが参加ができないということになります。あともうひとつ、こちらの治験になるのですが、まだお薬の名前が、こちらはキイトルーダというお薬があるのですが、まだ開発段階のときはこういった暗号かのような表示でお薬の仮の名前になります。このお薬というのは、いわゆるウイルスを使ったお薬なのですが、こういったお薬と抗がん剤を一緒に使ったらどうなのか、と、標準治療の抗がん剤をバトルさせるような研究になります。これも同じように、まったくお薬を使ったことがない人のみ対象になります。じゃあ、使ったことのある人の治験は無いのかという話なのですが、無いです。ちょっとこの点は調べたのですけれども、そういった情報は無いというお伝えになります。同時に、腹膜中皮腫に関する治験の情報なのですが、以前に、1ヶ月前ぐらいにお問い合わせいただいた方がいらっしゃいまして、2,3時間探して見たのですけれども、現状、無いということになります。

中皮腫の、今は募集はしていないけれどもデータを集めているという治験になります。分子標的薬と言って、がんが増殖することに関与するような、遺伝子とか免疫を的に作用するようなお薬で、CD26を標的とするようなお薬が現在、研究中でデータを集めています。ウイルスを用いた治療ですね。無害なウイルスをがんまで運ばせて、抗がん作用を及ぼすような治療なのですが、これもまた研究中でございます。ここには記載しなかったのですが、ニンテダニブというお薬が研究中でした。ただ、効果が無く、ダメでしたといったものがありました。つい最近の話で言うと、オプジーボとヤーボイというお薬は、逆に効果があるということで、皆さまに使えるように申請に向けて今、進んでいるという感じになります。

注目されているあの治療ってどうなの?というところになります。皆さまもちょっと1回は効いたことがあるのが1つはあるかもしれないのですけれども、光免疫療法ですね。光免疫療法に関しては、どんな治療かというのをざっと言うと、がんに目印をつけて、その目印をターゲットに光を照射して、抗がん作用をもたらすような治療です。現在、頭頸部がんや消化器系のがんで研究が進んでいるのですけれども、ここは全体的に言えることです。何かの目印が無いと効果を発揮できないような治療が、今、ほとんど研究の主軸になっておりますので、今、この主軸はEGFRというようなものになります。カーティーという治療法があるのですが、これは1回の治療で3,4千万かかるといって、少し有名な話になったのですけれども、対象は血液がんです。で、主にされているのですが、すごい費用がかかるのですが、効果もすごい、みたいな形で、今、注目されているものです。これは、自身の免疫、白血球に「がんはこいつだ」と認識しやすくなるような武器を人工的につけて身体に戻して、自身の白血球ががんを攻撃するよう誘導するような治療になります。これは主に血液がんで研究がされていて、固形がんに関しては、ちょっと今のところ見えていない。世界的に見ても、今、どこの世界でもカーティーを中皮腫で、というのはちょっと見つけられませんでした。これも先ほどと同じように目印が必要だということになります。3番目は、抗体薬物複合体です。これは薬物、いわゆる抗体ですね。識別しやすくなるような抗体をくっつけて、先端に抗がん剤をくっつけるのです。今、「誘導ミサイル」という表現の仕方がありますが、効果としてはかなり期待できるようなものです。これも目印となる遺伝子が必要で、EGFRとかher2とかにはなるのですが、現時点では中皮腫でこの応用が利くような遺伝子変異というのが今のところ見つかっていないというところになります。最後に、これはこのページに残すべきか、ちょっと迷ったのですが、がん特有のゲノム医療ですね。これはがん特有の遺伝子をまずは調べて、その遺伝子に働きかける薬があれば使いましょう、という研究になります。これはなんとも言えないのですが、全部のがん種で、どのぐらいの人が治療に結びつくのか、というのが、5%から10%だと言われています。それがわかったとしても、今のお身体の状態でそのお薬が使えるのか、というと、使えない人もいるので、実際にはそれよりも若干少ないというのが実際のところだと思います。ここもメモですね。一応、ゲノム医療と言いますか、ゲノム中核病院というものが定められております。「おしえて がんゲノム医療」と調べると、その拠点病院がどこなのか、お近くの病院が見つけられるかもしれないので、一度見ておいてください。マスターキープロジェクトというのは何かというと、これは東京の築地の、国立がん研究センター中央病院が企画している、希少がんの方に対するゲノム医療の研究になります。この研究に関して、今回は時間の都合上見せないのですが、一度見ていただいて、基本的にはマスターキープロジェクトに今、賛同している病院は、東京の国立がん研究センター中央病院と、あとは京都にある京都大学医学部付属病院です。なので、一度ご検討の際は、築地のがんセンター、国立がん研究センター中央病院の希少がんホットラインに「マスターキープロジェクトについて教えてください」と聞くのが良いかもしれません。

治験の探し方なのですが、ほとんど治験の情報はインターネット上に載っています。なので、探すことは可能です。実際に探すとなると、オンコロがお勧めしているのは、このClinicalTraials.govです。実際に今日、調べてみるのですが、その前にお話を進めていくと、いくつかあります。

UMINは医師主導試験。製薬会社が企画する治験というより、医師が企画した試験を多くやっています。JAPICというところと、JMAというところがありますが、正直なところで言うと、オンコロで治験を探すときに使っているのは、このUMINとClinicalTraials.govです。これはなぜかというと、これは情報更新があまりにも少ない、ほとんど載っていないということになります。JAPICはclinicalTraials.govというアメリカのサイトの写しみたいなところがあるので、これが情報の更新が遅くてなかなか載っていないというところもあります。医師主導試験はUMINが比較的強いので、このどちらかを見るということになります。

実際、このClinicalTraials.govを見ようと思ったのですが、難しいです。すべて英語で、調べるのも英語でないと調べられないので、今回は提案があります。治験を探すときにはオンコロにお問い合わせください。ただ、治験に参加できるタイミングというのを知っておいていただきたいのですが、先ほど言ったとおり、初めて抗がん剤をするその前ですね。もしくは、今の治療の効果が薄れてきて、次の治療をやろうといった場合ですね。今回調べたのがすべてですので、今後、そういった機会があれば、オンコロの私、中山宛にご連絡をいただければと思います。治験って、どこの病院でもやれるわけではないのですね。なので、治験を実施している有名な病院のホームページを確認するというのも一つの手だと思います。「病院 治験」で調べると、「当院でやっている治験はこちら」みたいなページが載っているかと思いますので、そこをもとに見ていただくのが良いかなと思っております。全部が全部ではないのですけれど、私たち、治験に関して、いくつか中皮腫に関してご紹介はしてきたのですが、比較的強い病院はこの2つの病院かなと個人的には思っております。

最後に、なぜ治験の説明をオンコロがするのか、伝えているのかです。それは、治験は治療になるかもしれないのに、治験の存在を知らずに後悔する患者さんがたくさんいらっしゃるのですね。また、その患者さんのみならず、医師までもこの治験の情報を見つけるのが困難なのです。先生が治験の話をなぜ知らない、というとろなのですが、知らない先生のほうがむしろ多いのが今の状況です。なので、そういった状況を少しでも改善できるように、オンコロは治験の情報を発信しているということになります。また、今回、治験のセミナーをしていただいたのは、より正しい知識を持って先生と相談できるようになってほしいということと、治験を知るというのが、それだけ治験に参加できる人を一人でも増やす可能性を増やすことと、それによって助かるかもしれない命を一人でも多くすることに繋がるということです。そうして、治験を知っている人たちが集まることで、より早くたくさんの患者さんが集まって、より早く新しいお薬が使えるようになることに繋がってくると思いますので、今回はそういったきっかけづくりのセミナーの機会を作っていただいてありがとうございました。ご静聴ありがとうございました、というところで、これは本庶先生です。オプジーボの生みの親の本庶先生を招いたところがありましたので。こんな感じで終わらせていただければと思います。どうもありがとうございました。