中皮腫と診断されて家族にできること

公開日:2020年5月28日

中皮腫と診断されて家族にできること

「家族が中皮腫と診断されて、どうしたらいいのかわからず、不安で、お医者さんなどの話しも頭に入ってきません」。ご相談を受ける中で、このような話を伺うことも珍しくありません。「患者本人が大変なときに、弱音を吐いていられない」と思われるご家族の方も多いのではないでしょうか。もちろん、患者本人が非常に多くの不安と日々葛藤していることは事実ですが、「この先どうなっていくのだろうか」「最愛の家族に、一日でも長く生きてもらいたい」「何かできることはないだろうか」「どうしてあげるのが良いのだろうか」と、家族も悩みを抱えます。
家族として、「こうすべき」という正解はありません。家族関係は人によってさまざまです。以下にあげる「6つのヒント」も、そのような意味で「良いとこ取り」して頂き、それぞれのご家族のスタイルに合わせて参考にして頂ければ嬉しいです。立場は違えど、心は一つ。私たちも皆さんに寄り添っています。

ヒント1 「中皮腫」に関する情報について探す(特に、「希望」があることを伝える)

「どこのサイトをみても、余命1年とか2年とかしか書いていないんです」。こんな声をよく聞きます。誰だって、お医者さんから急にそんな話を聞かされた上に、ネット検索をしても前向きな話が何もなければ「不安」になったり、「絶望」してしまいます。余命や予後に関する数字は、医学的な情報として一面の事実ですが、それは「平均的」な話でもあります。当サイトでも多くの患者さんの姿を紹介していますが、その方々も同じようなことを言われています。まずは、診断から何年、十何年も療養されている患者さんがいることを知って頂き、そのような患者さんの存在をお伝えしてみてください。ブログで、日常生活の様子を発信されている患者さんもいます。

ヒント2 診断・診察に付き添う

中皮腫と診断された患者さんの多くが、「ショックや不安で診断からしばらくはお医者さんの説明が頭に入ってこなかった」と言われます。ご家族も同様の場合があるかと思います。3、4人の家族と一緒に主治医の説明を聞かれる方も中にはおられます。誰か一人にメモを取ってもらいながら、治療方針などについて帰宅後にそれぞれが記憶を辿りながら相談して頂くことも良いかもしれません。患者さんと同様に、ショックを受けて大切な話を聞きそびれてしまった経験から、主治医に了解を得た上で、スマホの録音機能やICレコーダーでの録音をされるご家族もいます。診察時間は限られていますので、主治医に聞きたいことなども、事前に家族の方が整理して頂いてサポートされるのも良いかもしれません。

ヒント3 治療方針について、一緒に考える

「元気になってほしい」「少しでも良い治療を受けてほしい」。このような気持ちが生じるのは、家族として当然のことです。でも、まずは患者さんご本人がどうしたいのかの希望を聞いてあげてください。じっくりと、その理由を。まずはそれを受け止めて頂いた上で、もし違った考えがある場合などは、どのような気持ちを持っているのかを話して、治療に関する情報などを伝えてみてください。
価値観はそれぞれ違います。「どんなことをしてでも1日でも長く生きたい」「苦しい治療は何もしたくない」「できるだけ今までどおりの日常のまま生活したい」「とことんできる治療をやっていきたい」など、さまざまです。時には、患者さん本人の希望と家族それぞれの意見が一致しないことも珍しくありません。主治医とは別の専門医の意見を聞くこと(セカンドオピニオン、サードオピニオン)もでき、場合によっては転院される患者さんもおられます。

ですが、最後は本人の選択であり、選択の決定を尊重してあげてください(ただし、病気の進行に伴うご本人の身体的状態によってそれができない場合もあります)。ご家族は、選択できるための情報をヒント4で触れるような形も含めて情報を得て頂き、寄り添ってください。私たちもいつでもご相談をお伺いしています。

また、ときに家族・知人の方などが患者さんを想って「善意」で、科学的な根拠に乏しい完全自己負担の治療やサプリメント・飲料などの補完代替療法を勧められることもあります。しかし、治療・療養に関わる方針は「主治医」との相談が基本です。

ヒント4 「仲間」や「同志」を見つける

「知り合いにも中皮腫という病名のことは伝えていないんです。言っても理解してくれないだろうから」、と話される方もいます。患者さんはもちろんですが、家族という立場でも、同じようにそばで患者さんを支える「仲間」や「同志」(サポーター)が多くいます。ときには、患者さん本人には言えないことも、患者を支える家族のあいだの話の中でなら言えることもあります。私たちのサロンやセミナーに参加して頂いて出会いのきっかけをつくって頂くのも良いかもしれませんし、家族の立場でブログなどを通じて情報発信されている方もいますので、ネットを通じて知り合って頂く形もあります。具体的なつながりをする中で、治療や療養に関する疑問などについて相談して頂いても良いかもしれません。患者の家族や介護者が孤立して疲弊しないように、家族(子供や親)にも相談出来ない事(生活や仕事等)でも気楽に話して少しでもストレスを軽減してください。

ヒント5 本人も家族も、楽しみを見つける

病気と向き合うこと、病院に通うことは本人にも家族にとっても、肉体的にも精神的にも辛いことです。通院を少しでも前向きな方向に変えるように、あるご夫婦は病院の帰りに美味しいものを食べに行ったり、デートするなどをしていました。楽しみを見つけるのは、小さな事でいいと思っています。美味しいものをお取り寄せしたり、観たい映画を見たり、元気なら温泉に行ったり。それぞれのご家族の形があります。

ヒント6 「頑張りすぎない」

「不安」を吐き出す。ときに「逃げ出し」「人に頼る」ことも必要です。
「つらい、苦しい」は家族も一緒。でも、患者本人の前で不安や弱音は吐けないと思われている方も多いと思います。一人ではありません、同志(家族)もたくさんいます。ぜひ、声をかけてください。

私たちに直接、電話やメールを頂いても(「何を相談して良いかわからなかったのですが、とにかく電話してみました」という方も多くいます)、ヒント4で記したような形で仲間をみつけ気持ちを吐露して頂いても良いかもしれません。また、みなさんが通院されている医療機関には、がん相談支援センターなどの相談窓口がある場合もあります。公認心理師さんなど、「心のケア」をするスタッフを配置している医療機関もあります。まずは、不安や心配があることを主治医や看護師さんにお伝えしてみて、院内に相談にのってくださるスタッフがいないか聞いて頂くのも良いかもしれません。
患者さんご本人のそばにいることは、ときに無意識に心身ともに疲労が蓄積していることもあります。介護や看護の負担を減らす為、ホームヘルパーやショートステイサービスを利用できる場合もあります。身近な医療関係者(病院の相談支援センター、地域包括支援センター)などに相談してみましょう。病院や自治体で言われた内容が異なっている、言われたことが理解できないなど、困ったときにはいつでも私たちにご相談してください。「誰かの力を借りる」ことは、悪いことではありません。むしろ、私たちも含めてご家族の力にもなりたいと考えている関係者は多くおり、「頼ってほしい」と思っています。

家族からのメッセージ

・若いご兄弟やご夫婦、親御さんなんかのお話であれば、私でよければいつでもお聞きします。

・仮に結果が同じでも、暗い未来を描くなら、明るい未来を描いて、本人も家族も1日1日を大切に過ごしてください。

・性格にもよるのかもしれませんが、私個人は「前向きな気持ち」は、病気と戦う意味でとても大切だと思います。

・「家族として何ができるか?」は、皆さん考える事ですよね。ただ思い通りにはならないのもこの病気だと思います。あの方がこうだからとか、こうなったからとか、参考になることはありますが、同じようにはならない事の方が多いと思います。医師の進める治療を言われるがままして、苦しい思いをする患者さんがいたりする事を知ると、やはり病気の事をしっかり勉強し、理解して患者さんが 納得できる治療を受けて欲しいと思っています。それには情報は必須です。

・ネットの検索に関しても、調べようとして検索すると、必ずマイナスの記事がでてきます。ネットの情報は偏りがあるものも多く、私達の時は、あまりいい情報がありませんでした。仕事柄、情報を得る時には信頼できるサイトなのかを必ず確認する癖がついているのですが、やはり、検索すると、その他の記事も気になり、見てしまうのですよね。「治療法についていい情報はないかと検索→マイナス記事をみる→不安になる→眠れなくなる」など、マイナスの面が多いことに気づき、私達は出来るだけネットは見ないようにしていました。そのせいか、ある意味、前向きに最後までいられたのだと思います(亡くなる1ヶ月前まで、治ったらハワイに行きたいねと話していたくらいです。この時、自宅で酸素の器械を使用していました。)。私は、最後まで前向きに生きられたことは、本人にとってはとても良かったと思っています。年齢が若かったこともあるかもしれません。

・1番身近なパートナーの行動が、1番本人に伝わります。私は、本人の前で泣いたことはありませんでした。そんな中、育児もしていたので、本当に辛かったです。でも、後悔していません。

以上の6つのヒントについてのご質問や、ご家族のお話をもっと詳しく聞きたいという方は、遠慮なさらずに、みぎくりハウスまでご連絡ください。

代表執筆:中皮腫患者遺族 松島恵一