オプジーボ体験記(Mさんの場合)

今年1月10日、オプジーボの胸膜中皮腫への早期承認申請を出したのは昨日のことのように覚えています。その甲斐あって、8月21日には予定よりも早くオプジーボが使用承認されました。もちろんこの新薬を待ち望んでいたのは患者だけではありませんでした。この承認を受けて、全国の医師たちも自分が受け持つ患者にほぼ一斉にこのオプジーボを勧めていたように思います。そういう私も9月20日からオプジーボの投薬を始めました。

昨年末には小野薬品工業の方から十分な説明を受けていましたし、その後も自分なりに色々調べる中で、オプジーボの投薬に踏み切った訳ですが、投薬前にあちこちからバッドニュースが入ってきて、いざ投薬の日が来るまで不安が過ぎっていました。例えば、投薬した後24時間以内に発熱などが出るインフュージョン・リアクション(アナフィラキシーショックのようなもの)が起きるだとか、稀な副作用はいつ訪れるか分からないだということが色々私の耳に入りました。正直なところ、もっと重要なニュースも入ってきたのですから、私の不安も増す一方でした。そんな中でのオプジーボ投薬の日を迎えました。

病院へ到着し、一通りの検査を済ませ診察室へ呼ばれるまでの待ち時間でさえ、「本当にこれでいいのか」と何度も自問自答を繰り返していた自分がいました。何故ならもっと重要なニュースが私をそうさせたのです。診察室に呼ばれても、喉元まで「先生止めてもいいですか?」と出かけていましたが、結局主治医の言うがまま化学療法室へ足を運びました。

化学療法室へ入ると、ベッドに案内されました。血管が出難い私は温かいタオルで腕を暫く温め血管を出そうとしますが、それでも看護師さんは血管を探すのに四苦八苦していました。化学療法室に通されてからおよそ1時間、やっとオプジーボの投薬が始まりました。それからというもの、看護師さんが代わる代わる5分おきに様子を見に来ました。そして「変わったことないですか」と皆さん聞いてきます。最初は「何にもないです」と答えていたのですが、本当にこれでもかというくらい様子を見に来ては「大丈夫ですか?変わったことないですか?」と言うので、私も何か変わったことを探すくらいになっていました。そして半分くらい投薬した頃、ふと少しだけ手先が痺れていることに気付き、見に来た看護師さんにその旨伝えたところ、「ちょっと待って下さい」と言って、点滴を止めて別の看護師さんに「先生に伝えて」と指示を待つ形になりました。待っている間に、徐々に足先も痺れていることに気付き、そのことも看護師さんに伝えました。こんな時に限ってと申しますか、主治医が見当たらず時間だけが経過していきました。ベッドに寝ながらおよそ30分経った頃、別の医師が来て私に症状を聞いた後、「問題はないでしょう。ゆっくり入れましょう」と指示をしていきました。看護師さんは指示通り点滴をゆっくり流すようにしました。

初めてのオプジーボが終わった頃には既に外は暗くなり始めていました。オプジーボの投薬時間は僅か30分程だと聞いていましたが、最初のオプジーボは病院に来てから6時間掛かってやっと終わりました。

自宅に帰ると両親は揃って私を心配しました。何故なら、今まで抗がん剤投与の後に帰って来たら、胃のもたれを訴えたり気分が冴えなかったりしていた私が満足に食事も摂れなかったことを気に掛けていたからです。もちろんその心配はないことを簡単に説明はしましたが、また違った副作用があることを説明するのも面倒臭くなり、インフュージョン・リアクションのみあることを説明しました。特に身体に異常はありませんでしたが、次の日だけは自宅で静養していましたが、熱など出ることはありませんでしたのでひと先ず安心し、また翌日から平常通りの生活に戻ることができました。

オプジーボは2週間おきに行なうのですが、その間特に気にするような副作用のようなことは起きませんでしたが、2回目のオプジーボ投薬の日の朝、突然下痢になり、私は前日の食事の影響かと思いましたが、念のため主治医に言うと、「大腸炎の可能性もある」と言われてステロイドを1週間分処方されました。それ以降特に異常はありませんが、3回目の投薬に行った際、投薬前の診察時に主治医がレントゲン画像を見て、「水も減っているみたいだし、オプジーボ効いているかもしれないなあ」と言ってくれましたので、今まで自分には効果はないのでは?と思っていた私も多少なりとも期待をしていました。しかし4回目、5回目と副作用もなく順調に投薬しました。特に副作用も現在のところありません。

奏効率約30%と言われるオプジーボ、主治医は「副作用がある人に結構効果があるとも聞くよ」と言っています。根拠のないことに惑わされながらも、取り敢えず効果判定が出る6回を2週間に1度投薬していきます。

私がここまで5回の投薬をしての感想は、抗がん剤のような副作用がないので普通の生活ができるのが嬉しいです。ただし、稀にある多様な副作用の諸症状には常に気を付けなくてはいけないのが面倒臭いと思います。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄