ダブルキャンサーでも前向きに考えること・中川富美子さん講演録(中皮腫サポートキャラバン隊in名古屋・2019年6月15日)

こんにちは。初めましての方もいらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。実は私、ダブルキャンサーで、中皮腫の他にも卵巣癌というのがあります。だからタイトルを「ダブルキャンサーでも前向きに考えること」というふうにしていただけたらと思います。

まず最初、2015年10月に胸水から悪性細胞が見つかりまして、それは入院20日後に病名診断されました。そのときにドクターからは、ステージⅠだし、手術はまだできる可能性があると言われましたが、やっぱりQOLの悪さとか、あと、手術をしても2~3年後で再発するよと言われたので、とても手術をする勇気がなくて、化学療法だけを6クールやることにしました。

最初はとても息苦しくて、肺が悪いとは思わなくて、心臓関係だと思ったんですね。それで心筋梗塞かなと思って、最初、循環器内科を受診しました。そこでは心電図を取って検査したんですけど、心臓には全然問題は無くて、右肺が真っ白になっている、機能していないと言われて、その病院には呼吸器内科が無かったので、市外の呼吸器内科のある病院を紹介されました。

■2度の告知で人生観が変わった

市外の呼吸器内科病院で、病名診断されましたが、化学療法についてはセカンドオピニオンで愛知がんセンターを選びました。

化学療法を6クールをやった後は経過観察で普通に生活していましたが、2017年の2~3月のCT検査の結果で卵巣が腫れていると言われて、だんだん卵巣が腫れてきました。それでお腹の張りもあったし、これは何か悪性じゃないかと思っていて、卵巣というのはすごく厄介で、手術しないと悪性か良性か分からないんですね。それでどんどん卵巣が大きく腫れだしてきて、もう7センチぐらいになると、中でよじれちゃうそうなんですね。そうすると、腸とか、ぐちゃぐちゃになっちゃうので、2017年の7月2日に手術をすることにしました。

そして手術をしてから良性か悪性かの判断がつくわけですけど、病理検査の結果、卵巣癌のステージⅡbって言われました。しかも転移じゃなくて単発だったんですよ。だからそういう想定外のこともあるんだなと、すごく怖くなっちゃって、自分としては、悪性というのが決まるまでは、良性か悪性かですごくもやもやしていました。

中皮腫の方で、ダブルキャンサーの方って、聞かれたことありますか?無いですよね。それで、そういう想定外のこともあるんだと、その時はすごく落ち込みました。でもまあ、なるようにしかならないし、そこで、2度の告知で人生観が変わったわけです。

小さなことはどうでもいい。気にならなくなる。あまりがんばりすぎない。命さえあれば他のことはたいしたことないという感じで、1日をゆったり過ごす、自分に合わないことはやらない。

告知されたときとか、再発とか、転移を言われたときに、どうやってメンタルを上向きにしていくか。そこでまず自分が入院中にどう過ごしていたかをお話したいと思います。

■入院中にどう過ごしていたか

入院というのは特殊な世界ですから、社会から隔絶された感じになります。孤独感も感じるし。それで、病気にはなっても自分は病人にはなりたくないという気持ちがあって、普段着で過ごしていました。患者タグを見ればすぐバレるんですけど、お見舞い客とよく間違われていました。

気分転換のために病棟内を散歩するということは、術後の自分は腸閉塞の心配がすごくあったもので、とてもよく歩いていました。だいたい病棟内を30周、40周とか。そうすると、お昼にそうやってよく動いていると、やっぱり夜、よく眠れます。

あとは、他の患者さんたちとよく話すこと。情報交換したり、思いを共感したり、ちょっとドクターの悪口を言ったりとか、憂さ晴らしはしてましたね。

夜は癒やしの音楽を聴いたり、リラックスをして眠りにつくという感じです。不安とか気になる症状があれば、すぐドクターとかナースに伝えるということですね。あと、病院食ってあまり美味しくないんですね。やっぱり同じパターンでよく似たものが出されるし。そうするとあまり食べたくない。匂いもやっぱり気になったりするので、そういうときはメニュー、貼り出されているメニューをチェックして、嫌なのがあればキャンセルしたり、下のレストランに行ったり、コンビニで買って好きなのを食べたりしていました。

そして食事も同室の患者さんと楽しく会話しながら食べたり、デイルームで食べたり、できるだけ美味しく食事できるようにしていました。だからある程度、わがままな患者さんでいいと思います。

■無理のないペースで治療しながら仕事を続ける

あと、日常生活の過ごし方としては、自分の生きがいをもつこと。自分の好きなことに集中して病気を忘れるひとときを持つ。

私は実は発症前はECCで講師をしていました。病気が発症してからは退職しましたが、マイペースで個人レッスンを続けています。

そうやって自分らしい人生を送れているということには感謝しています。
無理のないペースで治療しながら仕事を続けられるというのが一番良いかなと思います。

それからあと、朝夕2回散歩をする。これはどこかに出ていたのですが、過去1週間に2時間以上、自然環境に触れた人は、そうでない人に比べ、健康状態や幸福感が良好だそうです。植物とふれあって免疫力を高めるというか。

あと、小旅行などの楽しみのイベントを作る。治療や体調との兼ね合いもありますけど、やっぱりカレンダーに楽しいイベントの予定が入っていると、治療も頑張れるし、毎日、楽しくなりますね。旅先というのは非日常なので、そういうところに身を置いて、頭の片隅に、一時的にでも病気を忘れるということも大事ですね。

治療を長く続けるには、やっぱり気力、体力、忍耐、やる気が必要だと思います。それには楽天的な気持ちで治療を受けるほうが効果は大きいらしいです。なので、うまく気分転換しながら気長につきあっていくことが大切だと思います。

■病気というのは向かっていけば逃げていく

ある、がん専門ナースの言葉ですけれど、病気というのは逃げれば被さってくる。向かっていけば逃げていく。やりたいことをどんどん実践していく。余命というのは日々の治療と暮らしで作っていくもの、という言葉ですが、私もそう実感しています。

自分の最近の状況としては、2019年5月9日にCTで縦隔リンパの腫れが見つかって、早めの対処で5月28日に1クール目のカルボプラチンとアリムタをやりました。6月25日に2クール目をやる予定です。それで、7月上旬にCTを撮って、効果判定をして、もし効果なければオブジーボをやろうかと言われています。

いつもCT検査を聞くたびに、本当に心臓ばくばくで、結果を聞く日までは不安で、もやもやしますけど、それまではあまり考えずに、思い切り毎日を楽しむことにしています。だから心配するのは当日だけにしようということで、あとはなるようにしかならないということ。ストレスを避けて、なるべくイージーゴーイングで毎日を暮らすことが大事かなと思います。

■今日もポジティブ、明日もポジティブ

ダブルキャンサーで、希少癌の中皮腫を持っていますが、ブログで皆さんと知り合えて、いろんな情報をいただいたり、コメントを書かせていただいたり、やっぱり知り合えて心強く思っています。

発症当時の2015年10月は、ブログも2~3名しかなくて、本当に寂しい感じで、孤独を感じていました。でも、だんだん増えて、良くないんだけど、だんだん仲間が増えてきて、こうやって共有できて、本当にありがたいなと思っています。

しかもその卵巣癌というのはタチが悪くて、2年以内の再発率が何と70~80%と言われているんですね。しかも先生から「顔つきが悪い」と言われているタイプなので、やっぱりすごく嫌なんだけど、前向きに頑張っています。その婦人科の先生がすごく良い先生だったので、相性も良かったし、それで治療もうまく行ったし、経過も良かったと思っています。なのでドクターとの信頼関係というのはすごい大事で、やっぱりその先生を信じて、一緒に頑張ろうねって言われたり、いろいろアドバイスをいただいたり、本当に良い先生に巡り会えたと感謝しています。

皆さん、最後にこの言葉を贈らせていただきます。「今日もポジティブ、明日もポジティブ」で、いきましょう。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄