埼玉:蛇紋岩で造園業の男性が、アスベスト(石綿)肺がんで労災認定〜蛇紋岩が原因で中皮腫や肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚に罹患する可能性

アスベスト (石綿)は、広い意味での定義では「繊維状鉱物」となります。米国地質学研究所は、「柔軟で曲げられ、耐熱で、化学的に不活性で、電気絶縁性があり、長く細く強い繊維に容易に分けられる高度に繊維化した珪酸塩鉱物」と定義しています。

石綿繊維は最も細い短繊維で0.02μmで、目に見える石綿繊維は数百、数千の単繊維が集まった繊維束となっているものです。これはPM2.5の100分の1、花粉の1500分の1の大きさです。

石綿鉱石

アスベストは鉱物として2つのグループに分けられ、基本的に6種類があります。

○蛇紋石族<クリソタイル(白石綿)>

○角閃石族<アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、トレモライト石綿、アクチノライト石綿、アンソフィライト石綿>

これらのうち、商業的に利用されたのは、クリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)です。ただし、これら以外にも、米国モンタナ州リビーのバーミュキュライト鉱山から産出されたバーミュキュライト(ひる石)には、不純物として繊維状の角閃石を含んでおり、鉱山労働者や周辺住民に被害を出しました。

一方、「蛇紋岩」は、変成岩ないしは、火成岩中の超塩基性岩に分類される、岩石の表面に蛇のような紋様がみられる鉱石です。蛇紋岩には、クロム、ニッケル、石綿などの鉱物資源を内包していることがあります。

蛇紋岩

蛇紋岩は全国各地に分布していますが、とりわけ北海道が多くなっています。

蛇紋岩の分布図 
出典:https://staff.aist.go.jp/sudo-gsj/20060606/2006060601.html

2017年4月に、埼玉県内に居住する男性が発症した肺がんが、造園業で庭石として使用する蛇紋岩に石綿が含有しており、それを電動工具で加工するなどの作業で石綿にばく露したことを原因として熊谷労働基準監督署が労災認定されています。また、この患者さんからは肺組織から労災認定基準の数倍の石綿が検出されたとしています。

2018年4月には、厚生労働省が「蛇紋岩等の取扱い作業における石綿粉じん等に関する留意点について」とする通達を出しています。その中では次のように触れられています。

蛇紋岩は、基礎工事や石垣用等の石材や砕骨材等として、国内で年間2万6千トン(平成27年資源エネルギー庁鉱物資源課調べ)が採石されていますが、その成分として、クリソタイルやトレモライト等を含むことがあります。これらは、繊維状を呈していない場合は労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)上規制されている石綿ではありませんが、各種取扱い作業等に伴って繊維状を呈すると、同法において製造等が禁止されている石綿となります。クリソタイルやトレモライト等を含んでいる岩石(これらの成分が繊維状を呈していないもの)を、石材や砕骨材等として利用することは労働安全衛生法上の問題はありませんが、採石業や造園業等において、これらの破砕等の作業を行う場合には、クリソタイルやトレモライト等が繊維状を呈し、石綿の粉じんが生じることがあります。しかしながら、今般、蛇紋岩を取り扱う可能性がある関係事業主団体からヒアリング等を行ったところ、岩石の破砕等を行う事業者等においては、それに伴って石綿の粉じんが発生するおそれがあることが、必ずしも十分に認識されていないことが分かりました。

これ以前、2007年には北海道・苫小牧労働基準監督署が、クロム鉱山の元労働者が中皮腫を発症し、のちに遺族が労災請求をした事案を労災認定しています。この労働者は、むかわ町穂別福山の八幡鉱山で、鉱石やズリの運搬業務に従事していました。北海道には蛇紋岩帯が縦断しており、白石綿を産出する石綿鉱山も多くありました。蛇紋岩帯の中には、クロム鉱山もあり、クロム鉱山で採取される蛇紋岩の中に白石綿が含有していました。

参考

・外山尚紀(2018)『これからの石綿対策』大原記念労働科学研究所

・2017年12月26日、「『蛇紋岩』庭石加工で肺がん 造園業者、石綿労災 埼玉の71歳男性認定」『毎日新聞』

・「北海道・クロム鉱山で中皮腫労災認定」『関西労災職業病』、第368号

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄