その時栗田英司が考えた〜北海道、中皮腫サポートキャラバン隊(2017年9月8日)

下記の文章は、2019年6月に他界した栗田英司さんが、2017年9月8日に執筆された文章です。腹膜中皮腫で19年以上の療養をされた栗田英司さんの中皮腫との向き合い方は、現在療養中の患者さんのご参考になることもあるかと考え掲載します。

中皮腫と診断されると、患者と家族の方はインターネットで情報収集をします。しかし、接する情報は、余命8ヶ月、12ヶ月、2年とか5年生存率4%、7%、10%、確立された治療法は手術とわずかな抗がん剤治療など「がっかりする」情報ばかりです。

そういうネガティブな状況を改善したいと思い、7月から中皮腫患者であっても元気に生活している人、長きにわたり療養生活をしている人にインタビュー調査をする計画を立てました。

体験談を取りまとめて中皮腫ポータルサイト(現在制作中のホームページ)や書籍などで紹介することができれば、中皮腫患者さんたちの希望や励みになるからです。

今回共にインタビュー調査を行う右田さん(胸膜中皮腫患者)と今後の活動に対する決意表明のため「泉南石綿の碑」を訪れてスタートさせました。

中皮腫患者のピアサポート活動

しかし、せっかくインタビュー調査のために遠地に行ったのにそのまま帰ってくるのでは「もったいない」。一つ思いついたのはその土地の「患者と家族の会」と交流することです。

もう一つは「ピアサポート活動」です。ピアサポートとは「同じ立場の者同士の支援」という意味です。中皮腫は希少がんであるため患者同士が話し合う機会はほとんどありません。中皮腫患者でなければ分かり合えないこと、知りえないことはたくさんあります。

そこで、今回北海道の胸膜中皮腫で療養している田中さんのインタビュー調査と共に中皮腫ピアサポート活動「中皮腫サポートキャラバン隊」を行おうということになりました。

9月2日に田中さんのインタビュー、北海道支部の人たちとの交流(別室ではアスベスト相談会)をしました。そして、9月3日には「中皮腫サポートキャラバン隊」として、札幌駅前の会議室を借りて開催計画をしました。患者と家族の会を通して事前周知をしてもらったり、北海道新聞に案内記事を掲載しました。

キャラバン隊の実施

当日の出席者は22名で、自由に発言できる交流サロンと言う形で行いました。主催側として私と右田、小林会長そして大島寿美子先生がサポートとして対応しました。

 出席者22名の内訳は以下の通りです

 ●中皮腫患者 7名(栗田、右田、田中、北海道の方4名)

 ●石綿肺がん 1名(小林会長)

 ●石綿疾患の方 2名

 ●家族の方 11名

 ●その他 2名

 ※ 2日のアスベスト相談会の新聞の案内記事で来られた中皮腫患者が1名いました。

   したがって、21名は患者と家族の会の関係者ということになります。

まず、1人1分程度で全員の自己紹介をし、それから自由に発言してもらうようにしました。ただ、目的が中皮腫患者のピアサポートだったので、主に中皮腫患者の方々に発言してもらうように心がけました。診断に至るまでのご苦労、治療による副作用や痛み、今後の治療方針への悩み、労災申請に係るご苦労など多くの共通する話題に共感が集まりました。

70代男性は、肺がんと言うことで1年近く肺がんの抗がん剤治療をしていたそうです。身体もしんどくなり抗がん剤治療の中止を願いでて、治験の依頼をしたそうです。治験をするための生検をしたところ胸膜中皮腫と診断されて、現在数ヵ月の中皮腫の抗がん剤治療をし一定の効果を得ているそうです。肺がんは誤診です。遠回りしてしまったことに対してはしょうがないとサッパリとしていました。

50代男性は、2年前に腹膜中皮腫と診断されて「余命3~6ヵ月」と宣告されました。手術できないと言われ、3週間毎の抗がん剤治療(アリムタ+シスプラチン)をはじめて、途中でアリムタ単体に変更し、現在に至るまで続けているそうです。効果は、腹水は制御されて、CT画像ではがん細胞は死滅し残骸を確認できる状況です。しかし、副作用もありいつまでこの治療を続けるのか落としどころが難しいようです。

またある方は、胸膜中皮腫で余命1年6ヵ月と言われました。小樽の病院では手術はできないので北海道内A病院か山口県B病院かの選択で山口県B病院で手術をしました。手術は成功し放射線治療もしました。抗がん剤治療は北海道で行おうということで帰ってきました。しかし、北海道の病院では抗がん剤治療をすることができないと言われたため、現在再び山口県のB病院に転院する予定になっているそうで、なかなか病院が安定しないようです。

このような経験談に聞き入り「自分もそうだった」「わかる、わかる」「抗がん剤の効き目がいいんですね」と言う共感の発言がでて終始和やかな雰囲気でした。ただ、家族の方や他の疾患の方の発言の機会が不十分であったことが反省点として残りました。

これからの活動

今後も全国各地で中皮腫患者ピアサポート活動を「中皮腫サポートキャラバン隊」として行っていきたいと思います。ブログ上でも日々行っています。

栗田:http://ameblo.jp/kuriei563/  「中皮腫患者の生き残り大作成」

右田:https://ameblo.jp/tigers-1105 「胸膜中皮腫患者と言われてどこまで生きれるかやってみよう!」

  ※ブログ上のコミュニティで「中皮腫・同志の会」を結成しました。

あまり形にはこだわってません。会食、支部の患者会、個別訪問、講演会、何でもやります! どこでも参上します! のでお声がけください。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄