建設アスベスト訴訟の動向 国や建材メーカーの責任や「一人親方」の救済は!?

建設現場における石綿被害について国と建材メーカーを相手取った「建設アスベスト訴訟」。

2008年東京地裁を皮切りに、神奈川(横浜)、北海道(札幌)、京都、大阪、福岡の6地裁に提訴され、それぞれが2陣訴訟も提訴されました。現在では、東京、神奈川、京都、大阪の各1陣が最高裁で、札幌1陣、神奈川2陣、福岡1陣がそれぞれ高裁で、ほかは各地裁で係争中です。直近では、11月11日に福岡高裁で判決が予定されています。今年の3月に入って、大阪2陣の8次提訴がされましたが、キャラバン隊メンバーの関係者も原告として参加しています。

大阪訴訟の原告代理人をしている大阪アスベスト訴訟弁護団によれば、被害者21名(原告31名)だった大阪2陣原告団に、新たに被害者24名(原告36名、うち本人原告9名)が加わり合計で被害者45名(原告67名)となり、大阪2陣追加提訴時点で、全国では被害者727名(原告831名)となっています。追加提訴で大阪2陣原告団は倍増となりました。屋根・外壁工、吹付工、とび工、電工補助といった様々な職種の被害者が参加するとともに、追加提訴では中皮腫の被害者が多くいました(中皮腫16名、肺がん3名、石綿肺5名)。

建設アスベスト訴訟では、国と建材メーカー(企業)の責任が認められるかどうか、建設現場では多数いる法的に「労働者」でないとされる「一人親方」について責任が認められるかどうか、が大きな焦点となっています。4つの高裁判決で見ると次のようになっています。国の責任について、内容に違いはあるものの、4つの高裁判決すべてで認められています。企業の責任については、東京1陣を除く3つの高裁判決で認められています(神奈川1陣4社、京都1陣10社、大阪1陣8社)。一人親方に対する国の責任については、神奈川1陣を除く3つの高裁判決で認められています。大阪での追加提訴においては一人親方、個人事業主も積極的に参加しています。

また、スレート工事による石綿肺によって45歳で亡くなった方の遺族が大阪の追加提訴で原告に加わりました。この方の場合は、労災保険の特別加入をしていない一人親方期間が長かったために労災認定されず、石綿救済法の適用しかなかったケースで、建設アスベスト被害者の置かれた状況の難しさを示しています。

追加提訴時の会見で弁護団は「今後、最高裁でも一人親方に対する国の責任を認めさせることが非常に重要な闘いとなる。また、国の責任の始期を昭和40年代に遡らせることも重要だ。対企業責任では、地裁判決で2つ、高裁判決で3つの企業責任を認める判決がでているが、最高裁においても、企業の共同不法行為責任が認めさせること、さらには企業の責任の始期を昭和40年代に遡らせること、吹付材メーカーの責任を認めさせることが重要。また、解体作業者との関係においても国・企業の責任を認めさせる必要がある」として、さらに救済の拡大を目指す決意を表明しています。

除斥期間20年

大阪2陣の追加提訴は3月末で締め切られました。しかしその後、「いまのうちに提訴しておかなければならない」状況の相談事案が寄せられています。死亡してから20年を経過すると損害賠償を請求する権利が消滅する「除斥期間」がすぐそこに迫っているというケースの相談が、追加提訴後に複数寄せられ早急に対応が必要になりました(療養中の石綿肺の場合では最重症の行政認定から20年)。

石綿被害の発生状況を踏まえると今後「20年」を経過してしまうケースは少なからず出てきますし、実際にすでに多く方の請求権が失われているとみられます。建設アスベスト訴訟が最高裁判決で決着をみるまでにあと数年がかかると予想されますが、その間に「20年」を経過してしまわないようにしないといけません。仮にどのような決着をみたとしても、損害賠償請求には被害状況の立証を求められることが考えられますので、該当するのではと思われるケースはできるだけ早めに声をあげることが賢明です。関心のある方はぜひ相談を寄せていただきたいと思います。

建設アスベスト訴訟は国と建材メーカーの責任を問うています。この訴訟が最終的に勝利するのか、また、どのように勝利するのか、まだまだ予断は許しません。しかし、国と企業の責任を問う以上、その結果が建設現場でのアスベスト被害のみならずアスベスト被害者全体の補償・救済進展への契機の一つになっていくことは間違いないと強く期待しています。

大阪アスベスト弁護団HPより

大阪アスベスト弁護団

http://www.asbestos-osaka1.sakura.ne.jp/

【中皮腫・肺がん・石綿肺(アスベスト肺)・びまん性胸膜肥厚の発症と建設業におけるアスベスト被害】埼玉・型枠大工さんの事例

https://asbesto.jp/archives/1809

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄