【ベビーパウダー(タルク)による中皮腫の被害】日本では宝石加工業作業者や元看護師などが中皮腫発症で労災認定

今年3月に、アメリカ・オークランドの州地裁陪審が、中皮腫に罹患した男性が米・ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のベビーパウダーの原料タルク(滑石)にアスベストが含有していたことが原因だとして訴えた訴訟で、約2900万ドル(約32億3200万円)の賠償義務を認定されたとの報道がありました。

同報道によれば、ベビーパウダーの石綿被害をめぐってJ&Jの敗訴は7件目とされています。なお、ベビーパウダーによって中皮腫や卵巣がんを引き起こされたとする同種の訴訟が1万3000件にのぼっているというものです。

出典:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-14/POC34P6S972801

日本でも、ベビーパウダー(タルク)をめぐる被害が明らかになり、労災認定も出ています。1993年に36歳の若さで亡くなった夫の中皮腫発症の原因が、東京都足立区の勤務先の時計用宝石加工作業によるものとして、足立労働基準監督署が認定しています。時計の軸に使用する人工ルビー同士がくっつかないようベビーパウダーを「打ち粉」として使っており、「振りかけたり、はたいたり、床に落ちたのを掃除したり。閉め切った部屋で7~8人が一日中ベビーパウダーを使って仕事」をしたといいます。

出典:https://diamond.jp/articles/-/1479

2012年には元准看護師の女性が、医療用ゴム手袋の再利用のために使っていたタルクにアスベスト(石綿)が混入しており、それを吸い込んだために中皮腫を発症したとして労災認定されています。

出典:2012年8月28日、「防府の元准看護師、労災認定 医療用手袋再利用で中皮腫」中国新聞

また、上記の労災認定に続いて、2013年には東大阪市の元看護師の女性も同様の仕事をしており労災認定されています。報道によれば、「タルクをまぶす作業は、手術室と中央材料室で、勤務日はほぼ毎日行ったといい、院内の全部署から集まるゴム手袋すべてを担当したという。作業場は常に白く煙のような粉がもうもうと立ちこめていた」とされています。

出典:2013年5月27日、大島秀利「アスベスト:元看護師、中皮腫死労災認定 手袋再利用時に石綿–東大阪」毎日新聞(夕)

これらの労災認定を受けて、日本看護協会もお知らせをホームページで周知しています。

「7月24日、山口県の准看護師が中皮腫を発症したのは、1981年~86年に医療用ゴム手袋を再利用するため、アスベスト(石綿)を含む粉(タルク)を使った作業をしたのが原因として、山口労働基準監督署が労災認定しました。

ゴム手袋等の再利用のために、アスベスト(石綿)が含まれる粉(タルク)を利用することは、1980年代まで一般的に行われていました。

現在は、アスベスト0.1%以上含むタルクの製造や使用は禁止されています。

みなさんの職場でも、タルクが原因となった中皮腫の発症とその労災認定について情報共有を行ってください」

出典:https://www.nurse.or.jp/home/news/00886.html

中皮腫患者さんやご家族の中に、「原因がよくわからないんです」という方々がおられます。じっくりお話を伺うと、原因がある程度判別でき、労災認定に結びつく方も決して少なくありません。そのような方は、まずご相談ください。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄