【再雇用時の賃金をもとに計算なんておかしい!】毎月勤労統計の追加給付に係る審査請求

厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正問題で、多くの労災保険受給者の方々に追加給付がされ始めています。 

支払い等についての情報 

厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正問題に関係して、 6月26日の読売新聞で「中皮腫遺族 審査請求へ 不適切統計影響『追加給付が過少』」の報道がありました。

当該の中皮腫患者Aさんについては中皮腫を発症され、のち労災認定をされました。しかし、中皮腫を発症したのは20代から勤務していた建築資材の会社(Aさんは営業・販売に従事。保温材としてアスベストリボンやアスベストクロスを扱いました)に再雇用された期間でした。当時、労災保険給付の給付基礎日額の決定にあたっては、最終粉じんばく露をした事業所での最終の3ヶ月(雇用期間中に発症した場合は発症前の3ヶ月)をもとにすることになっていましたが、2017年6月に厚生労働省が事務連絡として、「定年退職後同一企業に再雇用された労働者が再雇用後に石綿関連 疾患等の遅発性疾病を発症した場合の給付基礎日額の算定について 」を発出したことで状況が変化します。 


事務連絡が出された背景などについてはこちらをご覧ください。 

Aさんの労災決定時、この事務連絡は発出されていませんでした。Aさんの労災認定にあたって作成された調査結果復命書には、再雇用時の石綿ばく露がないことが明示されており、この事務連絡以降の労災認定であれば正社員時代の給与をもとに給付基礎日額が決定されていたと考えます。給付基礎日額にして、正社員時と再雇用時で計算した際の差額は2000円以上もありました。仮に、正社員時の賃金をもとに給付基礎日額が決定された場合は、これまでの給付に250万円以上が上積みされていたものと判断しました。

この事務連絡が発出した前後の労災認定で、このような差が出るのはあまりにも不公平です。中皮腫を含む石綿疾患をいつ発症するのかは誰も左右できません。 

しかし、より深刻なのは、Aさんが2018年1月に傷病補償年金に移行しているのですが、この時点で年金額を計算される際にも上記の事務連絡を適用させなかったことです。厚生労働省は、「原処分時のみ適用させるもの」という解釈をしていますが、それではあまりにも不公平です。 

そして、問題になっている統計不正に係る追加給付にあたっても、各追加給付の対象者の労災記録を精査するなどして、この事務連絡と関係する受給者がいないかどうかの仕分けを一切していません。Aさんも追加給付の対象者でしたが、事務連絡は全く考慮していないものでした。 

今回の追加給付にあたっては、その通知の中には不服がある場合は審査請求できる等の旨の但し書きがあります。 みなさん、注意してください。3ヶ月を経過すると申し立てができなくなります

今月、残念ながらAさんはご他界されてしまいましたが、ご遺族はこの処分に絡めて審査請求において給付基礎日額の見直しを求める予定です。 

大きな問題として、Aさんのような方々はどの程度おられるのか、という問題があります。 例えば、最近の労働災害死傷病発生者数は約12万人、そのうち代表的な中皮腫・石綿肺がんで約1000人、じん肺が約300人となり、遅発性疾病患者率は約1%となります。毎月勤労統計問題を受けた労災保険の追加給付対象者は72万人。数千人は遅発性疾病患者もいるとみられ、そのうちAさんと同様の状況に置かれている人は数百人はいるとみられます。

厚生労働省は、統計不正に係る追加給付にあたって、このような再雇用後に中皮腫等の遅発性疾病を発症した被災者の情報を精査した上で事務連絡に沿った適正な給付をすべきです。とにかく、時間は限られています。

【給付額が5倍に変更!労災認定されて療養中の患者さんに知っておいてほしい話。その1】おかしい!?と思ったら一緒に考えましょう。北海道・札幌の事例から【北海道で本当にあった話】労災認定後に給付額が変更される場合も!2000万円の追加給付がされた事例【給付額が3倍に変更!労災認定されて療養中の患者さんに知っておいてほしい話。その2】おかしい!?と思ったら一緒に考えましょう。北海道・室蘭の事例から。の記事でも触れたような方、Aさんのような方は全国にまだまだおられると考えています。お心当たりのある方はぜひご相談ください。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄