オプジーボ投与/決断のとき

福岡県 今村 亨

人生は決断の連続です。身近なところでは、お昼ご飯を何にするかなど頻繁にやってきます。今回もその瞬間は、突然にやってきました。

オプジーボの5回目を実施するため、福岡より通いなれた道のりを2時間のドライブ。10時に到着して、採血、レントゲン、CTとルーティンをこなし、待つこと1時間。17番の診察室からお呼びがかかり、挨拶を済ませ着席。レントゲン画像に目をやると、素人目にもわかるくらいに右肺の影が大きくなっていました。

先生が一言、「効いていないようなので次の治療に切り替えましよう」。夢のオプジーホ治療があっけなく終わった瞬間でした。

ここに至るまで、2017年8月に右わき腹に痛みを感じて以来、生命を左右する大きな決断を迫られてきました。

最初の決断は手術するか、しないかの決断でした。家族との相談により可能であれば手術すべきとの事で手術を選択。次は病院選びです。

福岡のA病院では手術できないので北九州市のB病院を紹介されました。ネットで検索していくと兵庫のC病院が圧倒的に術例の多いことがわかり、翌週には紹介状も無い状態でC病院を受診しました。幸運にも中皮腫専門の先生に診ていたたく事ができ、手術も対応可能という診断をいただき、妻と2人涙を流し大喜びした瞬間でした。手術実施前提で先生の指示により地元の病院に戻り第一の治療、アリムタ+シスプラチンの化学療法を3クール行いました。

結果は、10キロほど痩せましたが良好。PETで赤く光っていた部分も消え、完治したのかと思った程です。数週間後に手術を控え自宅療養中、山口のD病院にてキャラバン隊の会合が行われるといった情報が入り、妻と参加しました。

右田さんのスピーチや専門医のお話を伺った結果、心は完全に山口のD病院に傾いてしまいました。理由は3つあります。隣県であった事(経費の問題)、病院の素晴らしい環境と実績です。

気が付けば、翌週には宇部医療センターの入院患者となりベッドの上にいました。2018年3月13日、右肺全摘手術に挑みました。9時に手術が始まり、5時間ほど経った頃手術室から家族に呼び出しがあったようです。「2か所ほど癒着しています。これ以上の実行は危険を伴うので閉じます」、とのことで第二の治療があっけなく終了。

またまた決断の時が訪れます。この時は無治療を選択。一か月入院生活を送り地元に帰り、経過観察の状態で過ごしました。6週間に一度の受診以外に自身の判断で漢方薬、カラー治療、高度ビタミンC点滴、酵素ジュース、アロマ、ヨガ、筋トレ、裕気取り等々あらゆる事を試してみましたが、相手も中々手強くて2018年12月の定期検診で進行が見られたため治療開始の決断を迫られました。

このまま経過観察を続ける、化学療法を実施する、オプジーボの3択でした。迷わすオプジーボを選択。薬が合えば2年間は生命維持が出来ると考えたからです。副作用も殆どないといった情報もあり、他を選択する理由が見当たりませんでした。

1回目は2019年1月16日に投与して、翌日37.5度の発熱がありました。解熱剤にて対応。暫くは何の副作用もなく一週間経過後に再び発熱。徴熱であったため、何の対応もせずに翌日は正常値に戻りました。

このまま効いてくれれば良いなと思いながら1月31日に2回目の投与が行われました。投薬翌日には退院も決まり、3回目からは通院にて行うことになりました。

2回目の投薬後から1週間くらい経過したころから、ロの中に違和感を感じ始めました。と同時に、体中に赤い発疹がチラホラと。

元々、免疫疾患のの持病がある私はある程度予想はしていましたが、驚くほどに皮膚の状態は悪化。皮がむけ、赤い発疹は広がり、かゆみも伴い悲惨な状態になっていきました。2月15日に3回目の投与時に医師に相談し、ステロイド軟膏を処方して頂きましたが、焼け石に水です。極度のストレスがかかります。それもあってかロ内炎も悲惨な状態なっていきました。

口は半分しか開かない、舌は白い斑点で真っ自に変色。食事のたびに出血するなど、日常生活に支障を来すようになっていきました。

命と皮膚疾患+ロ内炎どちらを選ぶと言われれば答えは明確。ここは耐え時だと腹をくくり3月1日の4回目投与を迎えました。投与後2週間も上記の症状に苦しみながらステロイドを塗りまくり対応していました。

その他の副作用は一切無しであったために、我慢の範囲かなと思いながら冒頭に書いた5回目の投与の日を迎えました。

よく耳にしますが、「頭をハンマーで殴られたような衝撃」とはこのようなことでしょうか。

オプジーボとともに2年間過ごすつもりでいました。現状維持で十分だとも思っていました。

自分が効果の出ない対象には入るはずは無いと勝手に決め込んでいました。非常に悲しく、残念な瞬間でした。しかしここで終わるわけではありません。

まだまだ長い道のりの途中です。客観的に見ると手術は途中で中止し、オプジーボは効かないなど、悲慘な闘病経過に聞こえるかもしれませんが、異なる選択をした場合の結果は誰も知ることはできません。

自分で選択した結果は自分にとってのベストな選択の結果であると前向きに捉えています。家族、同志と共に良い治療法が出るまで粘ります。

未来は明るいと信じています。皆さんも前を向いて一緒に頑張っていきましょう。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄