小さな事でも幸せだと思える日々を

栃木県 女性

私は2016年10月に左側の悪性胸膜中皮腫だと診断されました。今年で55才になる主婦です。

原因といわれるアスベストを扱ったことも工場の近くに住んだこともなく、どこで暴露したのかまったく分かりませんでした。

予後の悪い病気だと知り、がく然としてた様な…ぽかんっとしてた様な…自分の事なの???他人の事なの???

実はその時の気持ち……あまり思い出せないのです。ただ、その日の夕御飯は喉を通らずでした。なので夜中に腹の虫が鳴って鳴って眠れなかったんですよ。可笑しいですね。

でも、とっても反省しました。大変な病気になってしまって、その病気と闘わなきゃいけない私の体なのに、ちゃんと食べて栄養を取ってあげなきゃダメじゃないって猛反省。その次の日から食事をちゃんと食べるようにしたことを覚えてます。

そんな私だから割と早めに病と闘うことに前向きになってました。

とても有り難かったのは、私が10月に中皮腫と診断される前、その年の7月に夫が12年間の単身赴任を終えて自宅へ戻ってきた事。それと同時期に息子二人が家をでて一人暮らしを始めていた事でした。子育ても一段落したこと、夫にもそばでサポートしてもらえた事で自分の治療に専念できました。とは言っても、涙はたくさん流したかな。涙を流すと、その後が何故かスッキリして、より前向きになれたから。泣くことはとても良いこと。なので今でも、すぐに泣きます。

その後の治療は、10月、11月、12月に化学療法(シスプラチン・アリムタ)、12月には手術可能と判断され、術前の胸膜癒着術をしました。担当医に手術の説明を受けた時、『手術をしなければ15カ月』、『手術をしても30カ月』と言われたのを覚えています。手術が出来ても余命的なこと言われるんだ……。それほどとんでもない病気なんだって、ふっと思ったけれど……。

それでもやらないで後悔はしたくないから、やれることはやっていこう。目の前の事を1つづつ受けていこう!と心に決めてました。

その後、2017年翌年1月26日に左胸膜剥皮術を受け、胸膜と横隔膜3分の2とリンパ節を取りました。

術後には予防的に化学療法を3回(カルボプラチン・アリムタ・アバスチン)を受けて、2017年7月末で一通りの闘病を終え、2018年10月現在、定期的に検診を受けながら経過観察中です。

皆さんと出会ったきっかけは、昨年、右田さんのブログにコメントをしたことがきっかけだったと思います。中皮腫の方のブログは、右田さんと無治療で7年生存している女性の方、お二人のブログを読んでいました。前向きになれる。穏やかな気持ちになれる。希望が持てる。そんな気持ちになれて読むのが楽しみでした。

ある時、省庁交渉に100人で……という内容のブログがあり、頭数の応援だったら私でも出来る!と思い、読むだけだった私が勇気を出してコメントをしていました。その後、キャラバン隊として右田さん、原さん、松島さんが今年1月の大変な雪の中会いに来て下さいました。

今年の6月1日の省庁交渉。夫婦で参加しましたが、皆さんの訴えを聴いていて、慣れない交渉の場、人の集まるところや人前で話すことも苦手。頭数でしか協力出来ない自分を自分で責めながら座っていました。

次の日には、そのまま帰るつもりでしたが、そんな情けない気持ちのまま帰れず新宿駅前での、ビラ配りと署名活動に参加することにしました。夫と並びながらビラを受け取ってくれた方に署名をお願いするスタイルで活動して、帰路につきました。

この病気になった事で体験した抗癌剤の副作用の辛さや手術後の回復までの大変さ、合併症で困った色々なことがありました。手術のあとに反回神経麻痺になり、左の声帯が開いたまま動かなくなったことによる嗄声(させい)が治るまで10カ月ほどかかりました。今はほとんど元の声に戻っていますが、話していると直ぐに掠れ声になってしまいます。とても残念なのは、私は音楽が好きで歌う事が出来なくなったこと。声は出ても、出したい音程と違う音程が発せられたり掠れたりで……今は音がズレて歌えません。なので、最近はキーボードで好きな曲を練習したりして音楽に癒されてます。

そしてこれからもどうなるか分からないけれど、でも1つだけ、良かったと思える事がある。私の中での幸せって思えるハードルがぐっと低く下がったこと。なにげない日々が幸せ、普段のなにげない日常が、どれだけ幸せだったのかということに気付けたこと。

普通に買物する事だったり……。晩ごはんの献立を考えて作ってる時だったり……。家族と一緒にいる事だったり……。散歩しながら可愛い草花を見つけては、嬉しかったり……。夕焼けや星空に感動したり……。他にも沢山幸せと思えることが増えたこと。それが、とっても良かったこと。

再発のことを考え過ぎて悩んだりもしない、心が穏やかで健康でいられたら体にも良いことだと信じてるから。これからもずっと……小さな事でも幸せだと思える日々を、穏やかに過ごしていきたいと思っています。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄