【労災認定されても休業補償が十分に支給されない方へ】支給されないと労基署から言われてもひとまずご相談を

今回の話は中皮腫で労災認定された方の事例ではありませんが、給付をもらう関係で中皮腫の方でも関係してくる内容です。労災認定されたのに、休業補償が支給されない方がまれにおられます。そのような方はぜひご参考になさってください(とは言っても、不当に支給されない事例もあるのでまずご相談ください)。

配管工として仕事をしているAさん。「びまん性胸膜肥厚で石綿救済制度に申請したけど不認定になった。どうにもならないのか。呼吸が苦しい」ということで相談がありました。

お話を伺った際は、「水がたまったりしている」ということでしたので、「良性石綿胸水」という疾病の可能性があるのかと考えました。「良性」とついていますが、決して身体的な状況が必ずしも良好というわけではありません。症状から中皮腫の疑いを持たれることもあります。結果的に悪性腫瘍はないということで、この病気が適切に診断されないケースもあります。良性石綿胸水は、労災制度では対象疾病に入っているのですが、救済制度では指定疾病とはなっていません。もしかしたら労災請求をすれば認定される可能性もあるかもしれないと考えました。

結果的には主治医の先生にご協力をいただき、症状が進行していることが確認され、「びまん性胸膜肥厚」として労災請求をすることになりました。請求から半年ほどで無事に労災認定されました。

ところが、労災保険給付の主要な給付にあたる休業補償給付が部分的(通院日)にしか支給されませんでした。労災認定された上での休業補償の支給には要件があります。噛み砕いていえば、①認定された病気のために仕事ができない、②何らかの賃金を受けていない、の2つの要件です。基本的に労災認定されていた方は、厳密に仕事ができないのか細かく確認はされませんが(中皮腫含め、難病でもあるので)、何らかの仕事をしていた場合は支給をされない理由にされます。Aさんは病気になってからも、自分で経営していた会社の仕事をしていたので、通院日だけ休業補償が支給されました。

これだけ書くと、「病気でも働けて、仕事して、お金もらってたら休業補償もらえないのは当然でしょう」と感じる方もおられるかもしれません。しかし、Aさんは呼吸機能が落ちていて、とても満足に仕事ができる状態ではなかったのですが、従業員がいた関係からも仕事を請け負っていました(労災認定は過去の労働者時代の会社で認定)。Aさんは、実態的には仕事という仕事はしておらず、零細企業の社長なので手当もあるかないかのような金額しか受け取っていませんでした。労災請求中、認定されるかどうかもわかりませんし、経済的な事情で無理をしてでも仕事をされる方がいます。ご相談を受けていて、発病時に建設業などに従事している方に比較的多く似たような方々がおられます。Aさんもそのような方の一人でした。

そこでAさんに提案させて頂いたのが、一度不認定になった石綿救済制度への申請でした。長くなりましたが、本稿の本題に入ります。最初の請求時よりも、症状が進んでいましたので再申請すれば、認定されると見込みました。結果は無事に認定となりました。さて、労災認定と救済制度による2つの認定がされたことでAさんにとって新たな請求をする権利が生じました。

すなわち、「併給調整」です。

石綿健康被害救済法第26条の2」と「石綿による健康被害の救済に関する法律施行令第8条および9条」が関連の条文となりますが、詳細に噛み砕いての説明は省きます。

Aさんの場合は、労災の休業補償も救済制度の療養手当(月額103,870円)を二重に請求した状態をつくりました。通常、労災認定された段階で救済制度で認定されていて療養手当の支給がある方は支給が停止されます。原則的にはAさんも、労災認定されているのでのちに救済制度で認定されたからといって療養手当の支給はされません。ただし、労災認定されている療養中の患者さんでも、療養手当が支給される場合があります。簡単に言えば、労災認定されていて支給された休業補償が103,870円に満たない場合は、差額が支給されます。これが併給調整です。

Aさんのように通院日のみの支給しか受けておられない方や、あるいは平均賃金が低く月額当たりの休業補償支給額が月額103,870円に満たないような方は差額が支給されます。言うまでもなく、救済制度で認定され、併給調整のための請求を環境再生保全機構にして頂く必要があります。手続きは面倒ですが、このような仕組み自体をご存知でない方が多くおられます。Aさんの場合は、この併給調整で約1年分の差額である百数十万円が支給されました。療養していく上で、また身体的なさまざまな制限があるなかで生活をしていかなければいけない状態で、Aさんにとってこの併給調整での支給金額はとても大きなものでした。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄