続・フツーの生活(腹膜中皮腫の無治療記録)

続・フツーの生活(匿名)

私は34歳の腹膜中皮腫患者です。発病年齢は30歳、3歳になる娘がおります。

私の病歴を簡単にまとめました。以下の通りです。

・2013年6月~2013年12月 不妊治療 

地域の婦人科クリニックで治療開始。腹部エコーで少量の腹水を確認。生理痛も酷く、臓器癒着も考えられた為、腹腔鏡術を提案される。

・2014年1月 腹腔鏡手術(子宮内膜症) 腹腔内に無数の病変が見つかる。

・2014年5月 診断(腹膜中皮腫) 病理診断がつかず、診断確定まで4ヶ月かかる。

・2014年6月 開腹手術(腹膜中皮腫)

病変を全て摘出し完治目的の開腹手術を行うも、病変が腹腔内に無数に散らばっており、摘出不可の判断。手をつけずに閉じる。

・2014年7月 セカンドオピニオン

確定診断を受けたがん研有明病院でセカンドオピニオンを受ける。この時点で自覚症状が無い為、今まで通りの生活をするよう勧められる。採血・CTの結果が悪くなったり、自覚症状が出てきた場合の選択肢は、抗がん剤治療になるとのこと。

・2014年7月~2014年9月 民間療法

びわの葉温灸、にんじんジュース、玄米、岩盤浴、ジョギング等

開腹手術後の休職中に民間療法に取り組みましたが、復職・妊娠とともに自分に取り組む余裕が無くなり、現在何もしていません。

・2014年9月 復職 特例で短時間勤務(9:00~16:00)を認めてもらい、復職。

・2014年10月 妊娠

病気が判った時点で子どもは諦めるよう言われ、自分も仕方が無いと諦めていたが、たまたま授かることが出来た。

・2015年5月~ 産前休業

切迫流産と診断され、安定期に入るまで休職(2014年11月~2014年12月)したが、その後は今まで通り勤務し、予定通り産休に入る。

・2015年6月9日 出産 自然分娩で予定日の3日後に出産(母子共に異常無)

・~2016年5月 育児休業 他の社員と同様、約1年間の育児休業を取得。

・2016年5月~現在 復職

病気:採血・造影CTによる定期検診(年2回)。病変が子宮の周囲にもみられた為、婦人科と外科を受診中

子ども:歌と踊りが大好きな女の子(3歳)。小柄でお調子者ですが、元気に保育園へ登園中

仕事:大卒後正社員として入社した会社で、休職・育休を経て、現在9:00~17:00の短時間勤務で就業中。

中皮腫と診断され、治療法は無く、余命が短いという現実を突きつけられた。自分の周りはちょうど結婚・出産ラッシュで、みんな幸せできらきら輝く人生が待っている。それなのに私には、目標や希望を持っても、将来がない。気持ちはどん底に落ち、全く知らない世界が広がっていました。

私は自覚症状が無く、腫瘍マーカー・CTともに異常無しの為、抗がん剤治療をしても効果を確認することが出来ない。もし判断するなら、開腹して直接肉眼で確認するだけ。治療法が無いとは言え、治療しないという選択をすることはとても勇気が必要だったが、後々人のせいにしたりすることがないよう、ここは自分で決断しようと思い覚悟を決めました。

開腹手術後、復職せず休職し続け、自分のために生活するという選択もあったが、やはり社会と繋がりたい、私も誰かの役に立ちたいという思いが強く、復職しました。元々落ち着きが無く、家の中でじっとしているタイプでも無かった為、家族・職場ともに背中を押してくれました。

復職した翌月、妊娠したことが分かりました。もうとにかく嬉しくて嬉しくて。中皮腫で受診している病院の産科と外科で面倒みてもらえることになりました。出産まで10カ月。中皮腫の平均余命を2年と考えればなんとかいける。産めば周りが何とかしてくれる。(今となっては浅はかな考えだと思い知らされましたが・・・)

中皮腫と診断された時点で、主治医・セカンドオピニオンを受けた医師ともに子どもは諦めるよう言われておりました。妊娠した時、母体を守るため出産を諦めるという選択もあったのかもしれません。でも、その時の私にとってお腹に授かった子どもは生きる希望であり、私の生きる理由でした。私が中皮腫と診断されてから、あまり元気の無かった家族も、新しい命を授かったことで、ようやく心から笑えるようになった気がしました。

2015年6月9日、自然分娩で元気な女の子を出産しました。出産をゴールと勘違いしていた私は育児の大変さに気付かされます。ゴールでは無く、ゴールの見えないスタートでした。娘1人もまともに面倒みれない主人も気がかりですし、この2人を残して死ぬわけにはいきません。

最後に私の宝物である娘を紹介します。今、トイレトレーニングの真っ最中!トイレに誘うと出ますが、行くことが嫌でパンパースをはきたがります。。。乙女な女子でスカートが大好き!夜もスカートをはいて就寝です。。。食べ物では豆腐が大好き!食が細く、食欲もありませんが、豆腐なら自らすすんで食べます。。。趣味は指しゃぶり!親の目を盗んで隙あらば指しゃぶりをしています。。。歩くのは嫌い!少し歩くと足が疲れたと言って両手を広げて抱っこをせがみます。。。よって散歩もあまり好きではなく、移動する際は車に乗りたがります。。。朝食にはヤクルトとヨーグルトが必須!無いと「お買物行こう、アンパンマンのお金持ってる」と誘われます。。。自我の芽生え。自分の思い通りにいかないと公共の場でも寝転んで主張します。。。水遊びが大好き!週末は近所の噴水広場で裸になってはしゃぎます。。。 私は、1年前に家を建てました。日中はマイホームのローン返済の為、一生懸命働き、帰宅後は日々娘のご機嫌とりに精を出しています。そんな可愛い娘の成長をいつまでもみていたいので、これからも中皮腫と共存し、フツーの生活を送るつもりです。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄