望みと光明(腹膜中皮腫の治療記録)

望みと光明(沼澤正義)

私は建設会社に昭和47年に入社し、平成14年まで建築現場の施工管理に携わりました。係員として現場内で作業員と共に現場管理業務を行っていました。その後は営業職となり、いまも現役です。入社後から4~5年は鉄骨造の工事が毎年続き、いわゆる万能な耐火被覆材として岩綿吹き付け工事ほかアスべスト含有の管材切断等の粉じんを現場内で有効な対策もできず、また、その有害性も知らずにばく露した建設アスベスト被害者です。

平成15年頃、持病健診での疑いから岩見沢労災病院にて胸膜プラークが認められました。その後、半年ごとの胸部CT検査を行い、平成28年夏まで特別な呼吸機能障害も無く経過していましたが、びまん性胸膜肥厚の疑いと診断され、大学付属病院にて腹腔鏡検査で細胞成分組織検査を受診しました。 この検査結果は驚くことに陰性で暫く様子を見ましょうと安心したことを記憶してます。この前後の体重は85kgで体型も下腹が出ていましたが、中年太りと気にしておりませんでした。しかし、いま思えばこのとき下腹部に腹水貯留がはじまっていたのだろうと思います。

平成29年6月初めに1年後の検査を受診したところ、PET及び生検結果も陽性で悪性腹膜中皮腫と診断されました。石綿ばく露から約40年以上経過しての発病となりました。私の腫瘍部位は腹膜に散在するもので、中皮腫全体の2割くらいと聞きました。

その後は平成29年7月25日に第1回目のシスプラチン+アリムタの化学療法を10月末まで4回。維持療法として 29年11月中旬から30年7月まで1ヶ月に1回、アリムタを外来点滴センターで投与してきました。その間、投与後は副作用のため、約2週間自宅療養をして残りの2週間は出社勤務しました。5月にはゴルフもでき、維持療法が効を奏しているように感じておりました。 実際の5月ごろの血液検査ではシフラ(癌マーカー)数値も正常に近い値を示していました。

順調に経過していた、7月にアリムタ投与後の診断結果、腹水貯留が認められシフラ数値も倍の値が出て、 いわゆる再発と診断されました。 化学療法開始準備の為、入院して1000mlを1週間ごとに3回ほど腹水を抜きました。主治医の判断により、次の抗がん剤として平成30年8月9日にジェムシタビン+シスプラチンの化学療法を再開しました。これが私にとって最大の激痛が3日後に現れ、膀胱内壁が侵され、膀胱内に血が溜り小水が出なく血尿しか出なくなり、緊急で膀胱洗浄で難を凌ぎました。

実はこの症状発生には自覚と原因と思われることがあり、7月25日には持病でもある膀胱がん経尿道的膀胱腫瘍切除術を他病院と連携を取り行いました。10日間の養生をして化学療法になった状況でしたが、化学療法が膀胱に影響を与え出血したのではないかと考えられます。この緊急重大な症状発生により、体力回復を考慮して8月16日には2回目のジェムザール+シスプラチンを中止せざるを得ないと事になり、悶々とした気持ちでいました。

私は患者と家族の会でも、オプジーボが悪性中皮腫に対する早期保険適用陳情を行っていたことも知っていましたが、発病時主治医に治験で免疫チェックポイント阻害薬の治療ができないか相談した記憶があります。主治医からオプジーボの保険適用が今年中には認可されるのではないかと聞いておりましたが、悶々としたお盆過ぎの8月22日に医師から承認見込みと知らされ、光明が差しました。この少しあと、北海道キャラバンが旭川で開催された折に講演・交流会に参加し、初めて会の皆さんとお会いしました。

平成30年9月7日、旭川市内の大学付属病院で悪性中皮腫対して第1号のオプジーボ投与患者となりました。その後、13日間の休薬期間を空け、12月6日で7回目の投与を終えた現在の状態です。

治療経過を日記風に第1回目からの副作用等の症状を記したいと思います。

第1回目投与。平成30年9月7日(1週間入院、その後は自宅療養) 体重 69.5kg 。翌日から3日ほどの輸液反応により37°C微熱あり 元々、8月頃から腫瘍が大きくなり、肝臓と胃、胃に近い食道の一部を圧迫している為、食欲不振で特に3日目が食欲不振となる。右肩筋肉痛がでる。投与3日目が一番だるい。1週間後の腹水貯留なし 。

第2回目投与。平成30年9月20日(外来点滴センターで投与その後は自宅療養) 体重 69.6kg 。1週間前位から腹の張り。便秘、食べ物が食道で詰まり胃に通りづらくなる。食欲不振が強く、不眠症状 もあった。投与当日、腹水貯留を900ml抜水。右肩筋肉痛。

第3回目投与。平成30年10月4日(外来点滴センターで投与その後は自宅療養) 体重 68.0kg 。食欲不振の為、ビーフリード栄養剤をオプジーボ投与時に点滴。腹の張り。投与当日、腹水貯留を1500ml抜水。1週間毎の診察を開始。10月11日腹水貯留を1100ml抜水。投与後から食欲不振が強くなる。投与後位から倦怠感が強くなる。1週間後位から少々の吐き気。医師の承認を得て、肩痛治療のために鍼灸院通院治療開始。 投与後1週間位から頻尿も。

第4回目投与。平成30年10月17日(外来点滴センターで投与その後は自宅療養) 体重 65.4kgとかなり痩せてきた。1週間前位から腹の張り。投与当日、腹水貯留を1200ml抜水。食欲不振の為、ビーフリード栄養剤をオプジーボ投与時に点滴。投与後から3日間少々の吐き気。食欲不振は依然続き、強くなる。倦怠感も依然から続く。1週間後の診察、10月25日腹水貯留を1000ml抜水 。1週間後の診察、10月25日造影剤CT撮影。腫瘍の大きさは変わらず、シフラ数値は上昇 。

第5回目投与。平成30年11月1日(外来点滴センターで投与その後は自宅療養) 体重 64.5kg 。投与当日、消化器内科受診。腫瘍からの食道、胃の圧迫部を内視鏡検査。胃の入り口部が狭い。胃、食道への腫瘍浸潤(転移)はなかった。投与当日、腹水貯留を700ml抜水。 食欲不振の為、ビーフリード栄養剤をオプジーボ投与時に点滴。食欲不振は依然続き強くなる。倦怠感も依然から続く。投与後からの吐き気が続く。1週間後の診察、11月8日腹水貯留を800ml抜水。1週間後の診察。血液検査及びX線撮影特に変化無し。シフラ数値は減少。左耳に水が詰まったような感じの症状が続く(痩せたため、耳管が太くなった影響)。 親知らず歯が突然出てきた(痩せたため、ホルモンの関係か?11月26日に親知らず抜歯)。 起床時、脈拍が早くなってくる。食べれないのでどんどん体重減少していく。鉄、亜鉛不足で少々の味覚障害が続く。

第6回目投与。平成30年11月15日(外来点滴センターで投与) 体重 62.6kg。食べれず痩せてきた。エコー診察で確認するが腹水貯留抜水は無し。 11月16日、主治医の紹介で栄養点滴補給と経過観察治療のため、市内病院に入院。食欲不振は依然続き強くなる。倦怠感も依然から続く。投与後3日間下痢となり、その後1週間は1日に15、6回の重度の下痢が続いた(大腸炎?)。 入院中のCT画像で腫瘍の大きさを確認するが、肥大変化は見られない。入院中の血液検査数値では特に異常は見られませんでしたが、 同上重度の下痢が続いたのと、体力回復を目的として第7回目の投与は11月29日であったが、体力不調で延期する。市内の病院入院は11月16日から12月中旬まで予定。治療内容はビーフリード、ソルデム栄養点滴。

第7回目投与。平成30年12月6日(外来点滴センターで投与) 。体重 59.8kg。食べれず痩せてきた。前日のエコー診察で確認するが腹水貯留抜水は無し。 投与後3日後から倦怠、吐き気症状が出始める。食欲不振は依然続き強くなる。食べれないのでどんどん体重減少していく。重度の下痢が終わったあとは便秘が続く。市内病院の入院は続く。

第8回目投与。平成30年12月19日(外来点滴センターで投与)の予定であったが下記の事由で延期とした。体重58.0kg。食道の胃の入り口部が狭く、一気に飲み込めず食べものも固形物は取りづらい。1週間ほど前から、左足膝上とふくらはぎに力が入らず、足首のつま先上げが不自由な感覚が続く。スリッパ歩行では左足つま先が下を向き、スリッパが脱げてしまう。便秘が一週間以上続く。市内病院の入院は続く。 12月10日頃から帯状疱疹湿疹が出る。12日から胃右下から背中中央まで疱疹が出る。帯状疱疹も副作用と思われる。 12月19日、整形外科で左足診察で脊髄CT造影するが異常なし。オプジーボ治療の副作用と整形医師の診断。12月24日、脳外科で左足診断でMRIするが血栓等の異常なし。24時間心電図にて測定するが、左足に影響する診断無し。 左足の症状も副作用と思われる。18日時点で帯状疱疹の痛みが強く、19日のオプジーボ治療は延期とした。市内病院の入院は続く。

第9回目投与。平成30年12月27日(外来点滴センターで投与)。体重 58.6kg 。帯状疱疹の傷及び神経痛続くが、12月6日から3週間空いたため、少々の無理をおして投与。11月8日以来、腹水貯留800ml抜く。市内病院の入院は続き、年越し正月も病院で点滴生活。

以上がオプジーボ治療の副作用ほかの概要です。体重は当初の70kgから60kgと10kg減少。食欲不振が原因ですが、前記の通り私は腹膜中皮腫のため、腫瘍が肝臓、胃、 食道下部を圧迫要因で食物が飲み込み出来ないことが原因と思われます。

造影剤CTによると腫瘍の大きさは現状維持状態にあるようです。シフラ数値も1ヶ月前から減少していて、腹水貯留も減少状態にあります。

このようなことから、私にとってオプジーボは奏功率20~30%内に入っている可能性はまだ分かりません。阪大チームの記事でも投与中止後も4ヶ月以上、効果や副作用が続く可能性があると発表しています。

この地域での中皮腫に初めてのオプジーボ投与をしたこともあり、今後も主治医と相談して投与を継続していくつもりです。

イメージ的に免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法)と化学療法は言葉の響きから免疫療法の方が副作用が少ないのではと勝手に思っておりましたが、私の場合ははるかに、今回の副作用は辛いものでした。

この治療を受けれることになったのは、患者と家族の会が早期保険適用承認の陳情をして頂いた結果です。その働きにより自身にとって、ベストタイミングの治療となり、感謝しております。

時もおり、本庶佑京大特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞されました。 先生の長い年月の臨床研究結果が、今私たちの画期的ながん治療につながり、手術、放射線、抗がん剤の3本柱以外の選択肢を提供してくれたことで、私たちに望みと光明を与えてくれました。