【ご遺族の給付にも影響!労災認定されて療養中の患者さんに知っておいてほしい話。その2】おかしい!?と思ったら一緒に考えましょう。北海道・旭川の事例

「中皮腫で労災認定されているんですけど、裁判とかできないんですか?」というご相談をいただいたAさん。労災認定されているという方でも、まず認定された状況を簡単にお伺いします。話を聞くと、20代に勤務した建設業関係のお仕事が「最終石綿ばく露事業場」として認定されているということでしたが、50代に再び建設業に従事して型枠大工の仕事をしていたとのことでした。直感的に、平均賃金の決定内容に誤りがあるのではないかと思い、すぐに入院中の旭川の病院に会いに行くことにしました(日本国内なら、すぐに行きます!)。

お会いして、「型枠大工の仕事ではアスベストだったかはともかく、ホコリっぽい現場はなかったのですか?」と聞くと、Aさんは「全くなかったとは言えない。社長に気を遣ったというか・・・」と、なんとも歯切れの悪いお話でした。とにかく、審査請求の手続きを早急にしていただくことにしました。なぜ早急になのか。

理由は大きく2つあります。1つは、療養中の患者さんがしっかりとお話ができるうちに審査請求の審理を実施するとともに、判断を下す審査官の聴取を受けていただくこと。もう1つは、審査請求できる権利は基本的に患者さんの療養中にしかないためです。すなわち、「労働基準監督署長が行なった保険給付に関する処分」に対して3ヶ月以内に不服を申し立てことができる制度ですので、労災決定は1年以上前でも、「休業補償給付」など個別給付を定期的に請求・受給していればその決定時に新たな行政処分が発生していますので、そこを起算点にして3ヶ月以内の申し立てが可能です。ご遺族の方になってしまいますと、年金ないし一時金の支給が初回の請求以降は行政処分される機会は無いに等しいですので、遺族給付決定から3ヶ月以降は審査請求の権利がない方がほとんどです。例外中の例外的に、原処分などに瑕疵があった場合は、「【北海道で本当にあった話】労災認定後に給付額が変更される場合も!2000万円の追加給付がされた事例」などで対応できる場合もありますが、このようなことは滅多にありません。

Aさんにはまた、調査結果復命書の取得をお願いしました。調査結果復命書とは次のようなもので、人によって違いますが数百枚程度、労災請求後に労働基準監督署がした調査結果がまとめられていたり、収集した資料がまとめられています。

労働基準監督署によって書式が若干異なっていたりします。

請求方法は保有個人情報開示請求書を使用し、原処分をした労働基準監督署を管轄する都道府県労働局に請求します。どのように書いたら良いのか、よくわからないと思いますのでいつでもお問い合わせください。

調査結果復命書を取得後、意見書を作成して提出し、審理(口頭意見陳述。詳しくは「行政不服審査法審査請求事務取扱マニュアル(審査庁・審理員編)」のp.62を参照)にて原処分庁である旭川労働基準監督署に具体的な認定内容などについて質問すると同時に、Aさんから伺った話の内容を説明し、本人が証言した録音を審理の中で原処分庁および審査官に聞いて頂くなどをしました。審理からまもなく、Aさんは体調が悪化して意識が無くなってしまいました。審査官が直接、Aさんから聴取をすることはできませんでしたが、同僚であるBさんのご協力で50代に勤務していた会社でも石綿ばく露があったことを証言してくださいました。その結果、北海道労働者災害補償保険審査官が原処分の取り消しを判断し、給付基礎日額(平均賃金)が見直されることとなりました。変更額にして1000円強の金額で、それまでに支給された休業補償給付に対しても追加給付がされました。合計金額にして約100万円。ご遺族の年金支給額も、わずかですが増額されます。

残念ながらAさんは審査請求の見直し決定時には、お連れ合い様と小学生のお子さんを残してご他界されていました。相談をいただいて、信用という信用がない中でお会いしてくださり話を聞かせてくださったAさんにできたほんのわずかなご支援でした。お会いしたのは回数にして2回(そのうち1回は意識がないときに病院に伺ったときでした)。短いお付き合いでしたが、ご縁をいただき信頼してくださったAさんに対する感謝を忘れず、今後も支援活動をしていかなければならないと考えています。

腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名のお願い

胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、昨年、ニボルマブ(オプジーボ)が保険適用薬として使用されるようになりました。
一方、胸膜中皮腫以外の腹膜等の中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)の患者は非該当とされたままです。
腹膜等の中皮腫患者は、胸膜中皮腫に準じる治療を受けています。
私達は、腹膜等の中皮腫患者にも胸膜中皮腫と同様の治療の選択肢を一日も早く認めて頂きたいと願っています。
この切実な思いを以下の要望にまとめ、政府、薬品会社、医療者の皆さんに届けたいと思います。
できるだけ多くの中皮腫患者の方々にこの要望に加わって頂きますようお願いいたします。同時に、患者家族をはじめ、多くの皆さんにご賛同の署名を頂きますようお願いいたします。
2019年6月7日
中皮腫サポートキャラバン隊
共同代表 栗田英司・右田孝雄